BtoB・製造業のホームページ制作ガイド|引き合いにつながる情報設計【全国版】

「うちは商社さん経由の仕事ばかりなので、サイトから引き合いなんて来ませんよ」。町工場の社長さんから、よくそう言われます。

けれど実際には、発注側の担当者は毎日のように検索しています。急に必要になった材質の加工先を探す、いまの取引先が納期に応えられない、内製していた工程を外に出したい。そういうときに開かれるのが検索窓です。

この記事では、BtoB・製造業のホームページについて、引き合い(見積もり依頼)につながる情報の並べ方を、現役のWeb制作者の目線でまとめました。会社案内をきれいにするのではなく、技術を見つけてもらう作り方の話です。

📋 この記事でわかること

  • BtoBで実際に検索されている言葉
  • 引き合いにつながる5つのページ
  • 社内の稟議で回覧される前提の作り方
  • 費用の目安と、採用への効き方

製造業のサイトは「会社案内」ではなく「技術の索引」です

まず、いちばん大きな考え方の違いからお伝えします。ここが変わると、作るページの中身がまるごと変わります。

検索されているのは、会社名ではありません

紙の会社案内は、名刺交換をした相手が読むものです。相手はすでに社名を知っている状態で開きます。だから沿革や社長挨拶から始まっても成立します。

一方、検索から来る人は社名を知りません。打ち込まれるのは「ステンレス 薄板 溶接 小ロット」のような言葉です。材質、加工方法、寸法、ロット数、地域。この組み合わせで探して、条件に合う会社をいくつか開き、比べます。

つまり、BtoBのサイトに求められるのは「うちはこれができます」を、探されている言葉で並べておくことです。会社案内をそのままWebにしても、この検索には引っかかりません。

だから、トップページより中のページが読まれます

製造業のサイトを解析すると、アクセスが集まるのは加工内容や設備を紹介した個別ページです。トップページを一度も見ずに問い合わせる人もいます

ですので、デザインの力を注ぐべきはトップページの見栄えより、中のページの分かりやすさです。どのページに着地しても、何ができる会社なのか・どこに連絡すればいいのかが分かる状態にしておいてください。

引き合いにつながるページは、この5つです

ページ数を増やす必要はありません。優先順位が高いものから順に挙げます。

1対応できる加工と、その範囲

いちばん重要なページです。加工方法だけでなく、材質・寸法・板厚・公差・ロット数まで具体的に書いてください。「精密加工に対応」だけでは、担当者は自社の図面が通るか判断できません。数字が入った瞬間に、問い合わせの質が変わります。

2設備の一覧

メーカー名・型式・台数・加工可能サイズまで載せます。発注側の技術者は、設備名を見ただけで何ができるか分かります。文章で説明するより速い。写真も1台ずつあると理想的です。

3加工事例(課題と、どう応えたか)

写真を並べるだけでは足りません。「納期が短かった」「他社で断られた形状だった」といった課題と、どう対応したかをひと言添えてください。守秘義務があるなら、業界名とワークの概要だけでも成立します。「自動車部品メーカー様/アルミ削り出し/試作5個」のような書き方です。

4品質と検査の体制

取得している認証、検査機器、検査工程、不良への対応方針。新規取引の審査で確認されることが多い部分です。ここが書いてあると、先方の購買部門を通しやすくなります

5会社概要と、取引実績の書き方

資本金・従業員数・沿革に加えて、主な取引業界を書いてください。取引先の社名は先方の許可が要りますが、「自動車・産業機械・医療機器」といった業界の並びなら出せることが多いです。実績のない業界を書き足すのは避けてください。

BtoBは、その場で決まりません。稟議に耐える形にしてください

ここがBtoCとの最大の違いです。サイトを見た人が、そのまま発注を決めることはまずありません。見た人は、社内で説明する側に回ります

担当者が検索
技術ページで条件を確認
資料をダウンロード
社内で回覧・稟議
見積もり依頼

青く塗った部分と、その次の「資料をダウンロード」が肝心です。担当者は上司に説明するための材料を探しています。会社案内や技術資料をPDFで置いておくと、そのまま社内で回してもらえます。

実際、資料請求のあとに見積もり依頼が来るという流れは珍しくありません。ダウンロードは、問い合わせより一段ハードルの低い接点です。いきなり「お問い合わせ」だけを置くより、間に一段はさむほうが数は増えます。

💡 ポイント

PDFは新しく作らなくて構いません。いま使っている紙の会社案内や設備一覧をそのまま置くだけで機能します。ファイル名を「会社案内.pdf」ではなく「◯◯製作所_会社案内_2026.pdf」にしておくと、相手のパソコンの中でも迷子になりません。

問い合わせフォームは、短くしなくて構いません

Webの世界では「フォームの項目は少ないほど良い」と言われます。ただ、BtoBの製造業はこの原則が当てはまらない数少ないケースです。

名前とメールアドレスだけのフォームにすると、「見積もりをお願いします」という一行だけが届きます。そこから材質は、数量は、納期は、と何往復もやり取りが発生する。お互いの時間が消えていきます

ですので、次の項目は最初から聞いてください。

  • 加工内容・材質・数量(試作か量産か)
  • 希望納期
  • 図面の添付(ファイルを送れる形にしておく)
  • お困りごと(他社で断られた、コストを下げたい、など)

図面の添付ができるかどうかは、地味に効きます。メールに切り替えずに済むぶん、その場で送ってもらえる確率が上がります。ファイル形式や容量の上限は、フォームのそばに書いておいてください。

※フォームの項目をどこまで聞くか、業種に合わせて無料でご相談いただけます(相談だけでも大丈夫です)。

「できないこと」を書くと、引き合いの質が上がります

多くの会社が、できることだけを書こうとします。気持ちは分かるのですが、BtoBでは逆に働くことがあります。

対応できない材質、受けられないロット数、無理な納期。これらを正直に書いておくと、条件の合わない問い合わせが減ります。減るのは困ることではありません。見積もりを作って断る、という手間がなくなるからです。

正直に書いておくと助かる項目

  • 得意なロット(例:1個の試作から100個程度まで)
  • 対応できる材質と、対応外の材質
  • 最短納期の目安と、繁忙期の傾向
  • 図面がない場合に対応できるか(現物やスケッチから)

とくに最後の項目は書いておく価値があります。「図面がなくても相談できるのか」で悩んで、連絡をやめる人が一定数います。現物を持ち込めば話が早い会社なら、その旨を明記してください。

BtoB・製造業のホームページ制作の費用相場

費用の話です。この分野はページ数と、技術情報をどこまで整理するかで金額が動きます。デザインの華やかさより、情報量が費用に効くのが特徴です。

内容 費用の目安
会社概要中心・5ページ程度 30万〜60万円
加工内容・設備・事例ページを含む 60万〜120万円
撮影・資料ダウンロード・検索対策まで 120万〜200万円
技術情報を継続的に増やす運用込み 200万円〜

中小の製造業なら、60万〜120万円の範囲に収まることが多いです。金額を押し上げるのは、加工事例と設備の撮影、そして技術情報の整理にかかる時間です。

ここで抑えどころをひとつ。設備の型式や加工範囲を、あらかじめ社内で一覧にしておくと、制作側の作業がかなり減ります。ヒアリングで一から引き出すより速く、費用も抑えられます。料金の内訳全体はホームページ制作の費用相場【全国・中小企業向け完全ガイド】を、見積書の読み方は見積書の読み方をご覧ください。

設備投資とあわせるなら、ものづくり補助金やIT導入補助金が使える場合があります。制度ごとに対象経費が違うので、公募要領を公式サイトで確認してください。補助金の活用ガイドでも整理しています。

製造業のサイトは、採用にも効きます

最後に、見落とされがちな効果を1つ。製造業のサイトを見ているのは、発注担当者だけではありません

求人に応募しようとする人、その家族、学校の就職担当者。応募前にほぼ確実に検索されます。設備が整っていること、どんな製品に関わるのかが分かること。それはそのまま働く場所としての説得力になります。

加工事例のページが、結果として採用に効いていたという話は珍しくありません。採用に本腰を入れる段階なら、採用サイト制作の費用相場と作り方もあわせてどうぞ。事業内容のページと採用ページの分け方も整理しています。

自社の技術を、探されている言葉に置き換えてみませんか

「うちの加工をどう書けば伝わるのか分からない」——そこからのご相談で大丈夫です。設備と対応範囲をうかがって、どう並べれば引き合いにつながるかを無料で整理します。いきなり発注でなくて構いません。しつこい営業もしません。

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よくある質問

Q取引先の社名や製品の写真を、守秘義務で出せません。それでも作れますか?

作れます。社名を伏せて「産業機械メーカー様」と業界だけ書く、ワークの一部だけを写す、自社で用意したサンプル品を撮影する、といった方法があります。実際、公開できる写真がない状態から始める会社は多いです。

Q技術のことを、制作会社に説明できる自信がありません。

こちらから質問する形で進めるので、専門用語で説明していただく必要はありません。図面や設備の一覧、過去の見積書などをそのまま見せていただくのがいちばん早いです。難しい部分は、現場の方に同席していただくこともあります。

Q公開したら、すぐに引き合いが来ますか?

すぐには来ません。検索から見つかるまでには数か月かかるのが一般的です。ただ、既存の取引先や展示会で会った相手が確認する用途では、公開直後から働きます。名刺やメールの署名にURLを載せるところまでやってください。

Q更新は誰がやることになりますか?

設備を入れ替えたときと、加工事例が増えたときだけ触る形で十分です。月に何度も更新する必要はありません。自分たちで直したい場合は、その希望を制作前に伝えてください。更新しやすい仕組みで組んでもらえます。

参考情報

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まとめ

BtoB・製造業のホームページ制作費は、会社概要中心の5ページで30万〜60万円、加工内容・設備・事例まで含めて60万〜120万円が目安です。金額を動かすのはデザインではなく、技術情報の整理と撮影です。

作るときの軸は1つ。会社案内をWebに移すのではなく、探されている言葉で技術を並べ直すことです。材質・寸法・ロット・設備の型式。数字と固有名詞が入ったページが、引き合いを連れてきます。

そして、見た人はその場で決めません。社内で回覧されることを前提に、PDFの資料を置いておく。フォームでは材質や数量、図面まで先に聞いておく。できないことも書いておく。この3つで、届く引き合いの質が変わります。

「自社の技術をどう書けばいいか分からない」という段階で構いません。設備と対応範囲をうかがえば、並べ方はこちらで整理してお伝えします。