「だいたい2〜3か月です」。ホームページの制作期間を聞かれたとき、多くの制作会社がこう答えます。私もそう答えます。
ただ、この答えには続きがあります。その2〜3か月のうち、制作会社が手を動かしている時間は半分もありません。残りは、原稿や写真、確認の返事を待っている時間です。
つまり納期を左右しているのは、実は発注する側の段取りです。ここを知っているかどうかで、同じ規模のサイトでも公開日が1か月以上変わります。
この記事では、工程ごとの実際の所要日数・公開日から逆算するやり方・何が何日ずれるのかを、現役のWeb制作者の目線で具体的に書きます。
工程ごとの所要日数を、実際の目安で出します
まず内訳です。10ページ前後の会社サイトを想定しています。
| 工程 | 目安 | 主に動く人 |
|---|---|---|
| ヒアリング・見積もり | 1〜2週間 | 双方 |
| 構成づくり・ページ設計 | 1〜2週間 | 制作側 |
| 原稿・写真の用意 | 2週間〜2か月 | 発注側 |
| デザイン制作 | 2〜3週間 | 制作側 |
| 実装・ページ作成 | 2〜3週間 | 制作側 |
| 確認・修正 | 1〜3週間 | 双方 |
| 公開作業 | 2〜3日 | 制作側 |
太字にした行を見てください。いちばん幅が大きいのは、発注する側が動く工程です。2週間で終わる会社もあれば、2か月かかる会社もある。ここが2〜3か月と半年を分けています。
確認・修正の工程も、幅が出やすい部分です。制作側の直す作業そのものは数日で終わることがほとんどで、長いのは社内で回覧して意見をまとめる時間です。ここを1週間で回せる会社と、3週間かかる会社があります。
意外に思われるのですが、実装(ページを組み上げる作業)は思ったより早く終わります。素材と原稿がそろっていれば、10ページ程度は数週間の仕事です。長引くのは、待っている時間のほうです。
なお、工程そのものの中身はWebサイト制作の流れと進め方で解説しています。この記事は期間の話に絞ります。
規模別の目安
ページ数が増えると、原稿の量がそのまま日数に効いてきます。
💡 規模ごとの期間の目安
1ページのLP=3週間〜1か月半/5ページ前後の小規模サイト=1〜2か月/10ページ前後の会社サイト=2〜3か月/20ページ以上・予約や採用の仕組みを含む=3〜5か月。いずれも原稿がスムーズに出た場合の目安です。
公開したい日が決まっているなら、逆算してください
「いつまでに」がある場合は、そこから引き算で着手日を決めます。この順で考えると、無理のある日程かどうかがすぐ分かります。
公開日を1日だけ決める
開業日、展示会の初日、キャンペーンの開始日。「なるべく早く」ではなく、日付を1つ決めてください。ここが決まらないと、あとの全部が決まりません。
そこから1週間前を「完成日」にする
公開日ぴったりを完成日にしないでください。最後の確認と、想定外の直しに使う余白です。この1週間があるかないかで、公開前の空気がまるで違います。
完成日から2か月半さかのぼって着手日を出す
10ページ前後ならこの幅を見ておけば、極端に慌てずに済みます。間に年末年始・ゴールデンウィーク・お盆が入るなら、さらに2週間足してください。休みを挟むと、確認の往復が確実に止まります。
原稿の締め切りを、自分で先に決めておく
着手日が出たら、そこから3週間後あたりに自分たちの原稿の締め切りを置きます。制作会社から催促される前に、社内の予定に入れてしまうのがコツです。
現場の感覚をひとつお伝えすると、公開日を先に決めた案件のほうが、明らかに早く終わります。「急がないので、いいものを」と始まった案件が半年かかることは珍しくありません。締め切りがないと、原稿はどこまでも後回しになるからです。
遅れの原因は、それぞれ何日ぶんか
実際に日程がずれるとき、その理由はだいたい決まっています。何日ぶんの遅れになるかを添えて挙げます。
| よくある原因 | 遅れの目安 |
|---|---|
| 原稿が出てこない | 2週間〜2か月 |
| 終盤で決裁者が初めて登場する | 2週間〜1か月(作り直しなら以上) |
| 写真の撮影が決まらない | 2〜4週間 |
| 確認の返事が止まる | 1回あたり数日〜2週間 |
| 長期休暇をまたぐ | 2週間前後 |
上から2つは、どちらも発注する側の段取りで防げるものです。なぜそうなるのかという構造はよくある失敗とトラブルで扱っているので、ここでは日数の話にとどめます。
3つ目の写真は、見落とされがちです。撮影は、天候と全員の予定がそろって初めて成立します。外観を撮るなら晴れの日、スタッフ全員が写るなら休みの重ならない日。日程調整だけで2週間かかることは普通にあります。**サイトを作ると決めた時点で、先に撮影日を押さえておいてください。**
用意するものの全体像は依頼する前に準備するものにまとめています。
制作会社側の事情で遅れることも、正直にいうとあります
ここまで発注側の段取りの話ばかりしてきましたが、遅れの原因が制作側にあることも当然あります。
多いのは案件を抱えすぎている場合です。着手はしたものの、他案件と並行していて手が回っていない。デザインの初稿が2週間出てこない、といった形で表面化します。
もうひとつは担当者が1人しかいない体制です。その人が別の案件に取られたり、体調を崩したりすると、そこで全部止まります。
見分ける方法はあります。契約前に「いま何件くらい並行していますか」「着手はいつからになりますか」と聞いてください。答えを渋られたら、そこは判断材料になります。
進行中に不安を感じたときは、次にこちらが何を返せばいいのかを聞くのが有効です。ボールがどちらにあるのかがはっきりして、止まっている理由も見えてきます。依頼先の見極め方は失敗しない制作会社の選び方にまとめています。
どうしても急ぎたいとき、削れるものと削れないもの
「来月の展示会に間に合わせたい」。こうしたご相談も、実際にあります。方法はあります。
ページ数は後から増やせますが、間違ったまま公開したことは取り消せません。 削る順番だけ間違えないでください。
先に押さえておくと、あとが楽になるもの
着手を待たずに動かせるものがあります。日程が厳しいときほど効きます。
ひとつはドメイン(インターネット上の住所)です。取得自体はすぐ済みますが、使いたい文字列が空いているかどうかは早めに確かめておくと安心です。他社が持っていた場合、そこから考え直しになります。
もうひとつは撮影日。前述のとおり、日程調整が最も読めない部分です。
補助金を使う予定がある場合は、申請と採択のスケジュールにも制作日程が縛られます。交付が決まる前に発注すると対象外になる制度もあるため、公募要領を必ず確認してください。制度の概要はホームページ制作に使える補助金にまとめています。
その日程で間に合うか、先に見ておきます
「開業日に間に合わせたい」「展示会までに公開したい」——日付が決まっているなら、逆算だけ先にお出しできます。無理なら無理と正直にお伝えしますし、削れるところがあればそこも一緒に。無料です。いきなり発注ではありませんし、しつこい営業もしません。
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よくある質問
Q最短でどれくらいで公開できますか?
原稿と写真がすでにそろっていて、ページ数を絞れるなら、3〜4週間で公開できることもあります。ただしこれは素材が完成している場合の話です。まだ何もない状態からであれば、1か月半は見ておいてください。
Qリニューアルなら、新規より早く終わりますか?
早いこともありますが、必ずしもそうとは限りません。既存の原稿を活かせる分は短くなる一方、いまのページの引き継ぎや転送の設定が加わります。既存サイトの規模によっては、新規と同じくらいかかると考えておくのが安全です。
Q途中で内容を増やしたら、どれくらい延びますか?
ページを1枚足すだけなら数日ですが、構成そのものを変える場合は2週間以上戻ることがあります。デザインが決まったあとの変更ほど、影響が大きくなります。追加したいことは、設計の段階でまとめて出してください。
Q公開日を過ぎそうなとき、どうすればいいですか?
ページを減らして先に公開し、残りを後から足す形にできないか相談してください。全部そろうまで待つより、公開して直していくほうが結果的に早く動き出せます。何を先に出すかは、目的から決めます。
参考情報
- IT導入補助金(公式)(公募スケジュール・公募要領の確認)
- JPRS「JPドメイン名について」(ドメインの種類と登録の仕組み)
- JPRS WHOIS(使いたいドメインが空いているかの確認)
- 中小企業庁(支援制度・公募情報の確認)
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まとめ
ホームページの制作期間は、10ページ前後の会社サイトで2〜3か月が目安です。ただしこの数字は、原稿と写真がスムーズに出てきた場合のものです。
覚えて帰っていただきたいのは、納期を決めているのは制作会社の作業速度ではないということ。実装は数週間で終わります。長引くのは、原稿を待つ時間と、確認の返事を待つ時間です。
だからこそ、公開日を1日だけ先に決めてください。そこから1週間の余白を引き、2か月半さかのぼれば着手日が出ます。そして自分たちの原稿の締め切りを、社内の予定に入れてしまう。これだけで、進み方がまるで変わります。
日付が決まっているなら、間に合うかどうかの逆算だけでもお出しできます。無理なときは無理とお伝えしますので、早めにご相談ください。