「初期費用0円、月々1万円でホームページが持てます」
こう言われると、安く感じます。一括で40万円と言われるより、ずっと現実的に見えます。
ただ、月額だけを見ても、得か損かは判断できません。決まるのは2つ、総額と、やめたいときにやめられるかです。
この記事では、月額制・サブスク型の損得を自分で計算できるように整理します。数字の並べ方さえ分かれば、営業トークに左右されなくなります。
「月額制」と呼ばれるものには、3種類あります
まずここを分けないと、話がかみ合いません。同じ「月額1万円」でも、中身はまったく違います。
| タイプ | 月額の中身 | やめたらどうなるか |
|---|---|---|
| ① 制作費の分割 | 作った費用を数年かけて払う | 契約期間中は原則やめられない |
| ② ツールの利用料 | サービスを使う権利(STUDIOなど) | やめるとサイトは公開停止になる |
| ③ 運用込み | 保守・更新・サポートの対価 | サイトは残る(契約次第) |
問題が起きやすいのは①です。初期費用0円をうたう場合、制作費は消えたのではなく、月額に分けて乗っています。
さらに、リース会社が間に入る形になっていることがあります。この場合は相手が制作会社ではなく、契約は別の会社と結んでいることになります。仕組みと危険性はホームページのリース契約に注意|分割払いとの違いとトラブル事例に詳しく書きました。
②は性質が違います。月額を払っている間だけ使えるサービスで、やめれば止まります。ただし止まるだけで、誰かに縛られているわけではありません。
③は保守費です。相場と内訳はホームページの維持費・保守費用の相場をご覧ください。
損得は「3年総額」で並べると見えます
比べ方はひとつだけです。使う年数を決めて、その年数の総額を出す。これだけです。
仮の数字で並べてみます。金額は分かりやすさのための例で、実際の見積もりに置き換えて計算してください。
| パターン | 3年の総額 | 5年の総額 |
|---|---|---|
| A 一括40万円+保守月5,000円 | 58万円 | 70万円 |
| B 初期0円+月15,000円 | 54万円 | 90万円 |
| C 一括15万円+年2万円の実費 | 21万円 | 25万円 |
3年で見るとAとBはほぼ同じです。ところが5年になるとBが20万円高くなります。
ここが月額制の性質です。短く使うなら有利、長く使うほど不利になります。そして多くの会社は、一度作ったサイトを5年以上使います。
逆に言えば、1〜2年で作り直す前提なら、月額制のほうが合理的です。期間限定の事業、イベント、試験的な出店などがこれにあたります。
予算全体の組み方はホームページ制作の予算別にできることにまとめています。
契約前に見る5つの条項
総額の次に見るのが契約条件です。営業資料ではなく、契約書の条項を見てください。
3つめが、あとで効いてきます。解約したらサイトが消えるのか、データだけもらえるのか、ドメインは自社に残るのか。
ドメインが相手の名義になっていると、解約時に同じURLを使い続けられません。検索の評価も、名刺に刷ったURLも一度に失います。確認の仕方はホームページのドメイン・データ・著作権は誰のもの?に書きました。
4つめの自動更新も見落とされがちです。「3か月前までに申し出ること」と書かれていれば、タイミングを逃すともう1年続きます。
事業者の契約では、クーリング・オフが使えません
ここは知らない方が多い部分です。
特定商取引法には、消費者を守るためのクーリング・オフ(一定期間内なら無条件で契約を解除できる制度)があります。ただし、消費者庁の特定商取引法ガイドには「営業のため、又は営業として締結するもの」は適用除外と明記されています。
つまり会社や個人事業として結んだ契約は、原則としてクーリング・オフの対象外です。「8日以内なら解約できるはず」は、事業者の契約では通用しません。
だからこそ、判断は契約前にしかできません。押し切られそうになったら、その場で決めないでください。
⚠️ 注意
ここで書いたのは制度の一般的な説明です。実際にどう扱われるかは契約内容や事情によって変わります。すでに契約していて困っている場合は、消費生活センターや、中小企業向けの相談窓口、弁護士にご相談ください。判断が難しい段階で署名しないことが、いちばんの防御です。
月額制が合うケース・合わないケース
悪い仕組みではありません。合う場面もあります。
開業のタイミングでの考え方は開業・創業のときホームページはいつ作る?、安さを優先する場合の注意は格安ホームページ制作はなぜ安い?にまとめています。
※契約前の内容確認だけでも無料でご相談いただけます。他社の見積もりや契約書についてのご相談でも構いません。
判断の順番は3つだけです
最後に手順としてまとめます。
この3つを紙に書けば、営業の場でも判断できます。「月々いくらですか」ではなく「3年でいくらですか」と聞いてください。即答できない相手は、その時点で保留にして構いません。
よくある質問
Qいま契約している月額制が、どのタイプか分かりません。
契約書の相手先を見てください。制作会社以外の会社名(リース会社・信販会社)が出てくるなら①の可能性が高いです。あわせて最低契約期間と中途解約の条項を確認してください。
Q途中で解約したい場合、どうすればいいですか?
まず契約書の中途解約条項を読んでください。残額の一括請求が定められていることがあります。判断が難しい場合は、契約書を持って消費生活センターや弁護士など専門の窓口にご相談ください。
Q月額制でも、サイトは自社のものになりますか?
契約によります。制作物の権利とドメインの名義は別々に決まるので、両方を契約書で確認してください。「解約後もデータをお渡しします」と口頭で言われた場合は、その旨を書面かメールに残してもらってください。
Q月額が安い会社は、品質も低いのでしょうか?
金額と品質は必ずしも比例しません。判断材料は月額ではなく、総額と、含まれている作業の範囲です。同じ月額でも、更新対応が入っているかどうかで中身はまったく違います。
参考情報
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- ホームページのドメイン・データ・著作権は誰のもの?
まとめ
月額制・サブスク型が得か損かは、月額では決まりません。
まず「月額制」と呼ばれる3種類を分けてください。制作費の分割なのか、ツールの利用料なのか、運用の対価なのか。初期費用0円をうたう場合、制作費は消えたのではなく月額に乗っています。
そのうえで、何年使うかを決めて総額で比べる。3年では互角でも、5年で大きく差がつきます。
契約書では5点を見てください。最低契約期間、中途解約の扱い、解約後に残るもの、自動更新の通知期限、値上げの条項です。
そして事業者として結ぶ契約には、クーリング・オフが使えません。あとから取り消せない前提で、契約前に判断してください。
営業の場で言う言葉は1つで足ります。「3年でいくらになりますか」です。
契約前のセカンドオピニオンとしてもどうぞ
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