「これ、自分で作れそうな気がするんですが」。制作会社にこう聞くのは気まずいと思います。それでも、正直にお答えします。
作れます。いまのツールは本当によくできていて、パソコンが特別得意でなくても形にはなります。実際、自分で作って十分に回っている会社もあります。
ただし「作れるかどうか」と「作ったほうがいいかどうか」は別の話です。ここを混ぜて考えると、あとで苦しくなります。
この記事では、自分で作るべき場合とプロに頼むべき場合の分かれ目を、判断できる形で書きます。売り込みたい立場ではありますが、向いていないケースまで勧めるつもりはありません。
判断の軸は、この2つの質問だけです
迷ったときは、機能の比較表ではなくこの2問に答えてみてください。だいたい結論が出ます。
その時間を、本業に使ったらいくらになりますか
自分で作ると、慣れていない方で50〜80時間ほどかかります。仮に60時間、ご自身の時間を時給3,000円と置くと18万円分。この金額と制作費を並べて初めて、比較になります。「0円で作れる」ではありません。
1年後も、自分で直し続けられそうですか
こちらのほうが本質です。作るのは一度きりですが、更新は続きます。料金改定、営業時間の変更、スタッフの入れ替わり。半年触らないと操作を忘れます。それでも自分で開いて直せる自信があるなら、自作は十分に成立します。
1問目が「本業の時間を削ってでも構わない」で、2問目が「続けられる」なら、自分で作るのは合理的な選択です。逆に2問目に詰まるようなら、作る段階から任せたほうが結果的に安く済みます。
自分で作るのが向いているケース
実際にご相談を受けても、こういう場合は「まずご自身で作ってみては」とお伝えしています。
とくに1つ目は本音でおすすめします。まだ事業の形が固まっていない時期に、作り込んだサイトを持つ意味は薄いからです。半年で言うことが変わるなら、自分で直せるほうが強い。
プロに頼んだほうがいいケース
一方で、自作のまま進めると苦しくなる場合もはっきりしています。
2つ目は、言いにくいのですが事実です。数百万円の工事や、専門的なサービスを扱っている会社のサイトが手作り感の強い見た目だと、価格との落差が引っかかります。中身は変わらないのに、そこで比較から外れることがあります。
公開日が決まっている場合は制作にかかる期間もあわせてご覧ください。逆算すると、自作で間に合うかどうかが見えます。
自分で作る人が、だいたい同じ場所でつまずきます
「ページを作る」ところまでは、みなさん進みます。止まるのはその先です。
デザインではありません。見た目より、その周辺の設定でつまずきます。具体的にはこのあたりです。
| つまずく場所 | 何が起きるか |
|---|---|
| 独自ドメインの設定 | 取得はできても、サイトにつなぐ設定で止まる |
| 問い合わせフォーム | 設置はできたが、送信されたメールが届いていない |
| スマートフォンでの見え方 | パソコンでは整っているのに、スマホで文字が重なる |
| 検索に出てくるための初期設定 | 公開したのに、社名で検索しても出てこない |
| 文章の量と順番 | 書きたいことは載ったが、読み手の知りたい順になっていない |
いちばん多いのは2つ目のフォームです。テスト送信をしないまま運用していて、数か月後に「実は届いていなかった」と分かる。これは自作かどうかに関わらず起きますが、自分で作った場合は気づく人がいません。
⚠️ 公開したら、まずテスト送信を
自分のスマートフォンから問い合わせフォームを送ってみてください。迷惑メールフォルダに入っていないかまで確認します。ここを飛ばすと、来ていたはずの問い合わせを丸ごと逃します。
「作れた」と「使える」の間にある差
公開までたどり着いた方が、次にぶつかるのがここです。
作ったのに問い合わせが来ないという状態は、自作でも依頼でも起こります。ただ自作の場合、どこを直せばいいのかを相談する相手がいないのがつらいところです。
見た目を変えても反応は変わりません。変えるべきなのは、誰に何を伝えるかの整理と、その順番です。ここは時間をかけて学ぶこともできますが、本業の時間を削ってまで身につける価値があるかは、人によります。
途中からプロに引き継ぐときの注意
「まず自分で作って、うまくいったら頼む」。この進め方は現実的です。ただし1点だけ気をつけてください。
作りかけのサイトを引き継ぐと、ゼロから作るより高くつくことがあります。 中身を読み解く時間が余分にかかるためです。「途中まであるので安くなりますよね」と言われることがありますが、正直、そうとは限りません。
なので相談されたときは、作ったものは資産として残し、作り直す前提でお話しします。原稿や写真はそのまま活かせますし、1年運用して分かったこと——どのページが読まれ、何を聞かれたか——は、新しく作るときの最良の材料になります。
💡 引き継ぐ前に確認しておくこと
ドメインが自分の名義で取れているかだけ、先に確かめてください。ここが自分のものなら、サイトを作り直しても住所(URL)はそのまま引き継げます。無料ツールに付いてくるアドレスのままだと、URLが変わってしまいます。
費用面で見落としやすいこと
自作は初期費用がかからない一方、月額は発生します。維持費・保守費用の相場で整理していますが、独自ドメインを使う場合や広告表示を消す場合は有料プランが必要です。
また、補助金を使う予定があるなら注意が要ります。制度によって対象になる経費の範囲が決まっており、自作の作業そのものは対象外になることが一般的です。公募要領を確認してください。制度の概要はホームページ制作に使える補助金にまとめています。
なお「安く頼む」という選択肢もありますが、格安ホームページ制作はなぜ安い?で書いたとおり、安さには必ず理由があります。自作と格安依頼は、比べる前に中身を見てください。
自分で作るべきかから、ご相談ください
いまの状況をうかがって、自作で十分だと思えばそうお伝えします。無理に発注をすすめることはしません。すでに自分で作ったものがある場合は、どこを直せば効くかだけでもお話しできます。無料です。しつこい営業もしません。
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よくある質問
Qパソコンが苦手でも作れますか?
文字入力と写真の保存ができれば、形にはなります。ただし調べながら進める場面が必ず出てくるので、分からないことを検索して読むのが苦にならないかが分かれ目です。そこがしんどいと感じるなら、時間だけが過ぎていきます。
Q無料プランのままでも大丈夫ですか?
試す段階なら十分です。ただ事業として使うなら、独自ドメインが使える有料プランをおすすめします。ツール名の入ったアドレスのままだと、名刺に載せたときの印象が変わりますし、あとから移す手間もかかります。
Q自分で作ったサイトを、あとから直してもらうことはできますか?
できます。ただし使っているツールによって、手を入れられる範囲が変わります。また部分的に直すより作り直したほうが早い場合もあるため、まず現状を見せていただくところから始めます。診断だけのご相談でも構いません。
Qセキュリティは自分で管理できますか?
サービス提供者が管理してくれるタイプのツールなら、負担は小さく済みます。自分でサーバーを借りて構築する場合は、更新作業が続くと考えてください。情報処理推進機構(IPA)が基本的な考え方を公開しているので、一度目を通しておくと判断しやすくなります。
参考情報
- 情報処理推進機構(IPA)「安全なウェブサイトの作り方」(自分で運用する場合の基礎知識)
- JPRS「JPドメイン名について」(独自ドメインの仕組み)
- IT導入補助金(公式)(対象経費・公募要領の確認)
- 中小企業庁(支援制度の確認)
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まとめ
ホームページは、自分で作れます。ツールの性能はもう十分です。だから問題は技術ではなく、時間と、続けられるかどうかに移りました。
判断は2問で足ります。その50〜80時間を本業に使ったらいくらになるか。そして1年後も自分で直し続けられるか。2問目に詰まるなら、作る段階から任せたほうが結果的に安く済みます。
まだ事業の形が固まっていない時期なら、自作は良い選択です。半年で言うことが変わるうちは、自分で直せるほうが強い。一方、サイトから問い合わせを取りにいく段階に入ったら、設計の話になります。そこは分けて考えてください。
すでに自分で作ったものがあるなら、それは無駄になりません。1年運用して分かったことが、次に作るときの一番の材料になります。自作で十分だと思えばそうお伝えしますので、迷っている段階でご相談ください。