「うちの業界は紹介が中心だから、ホームページはあってもなくても同じ」。士業の先生から、いまでもよくお聞きする言葉です。
たしかに、サイトを作った翌週から依頼が殺到する、ということはありません。ただ、紹介であっても名前を検索されてから連絡が来るのが当たり前になりました。そこで何も出てこない、あるいは10年前のままのサイトが出てくる。それだけで、相談者の気持ちは少し冷めます。
この記事は、税理士・行政書士・社会保険労務士など士業の事務所サイトについて、資格ごとに違う広告のルール・載せるべき要素・料金の書き方・費用相場をまとめた総合ガイドです。現役のWeb制作者として、事務所サイトで実際に効いた部分をお伝えします。
士業サイトは「集客」より「選ばれる準備」の場所です
最初に、役割の話をさせてください。ここを取り違えると、作ったあとに「思ったより問い合わせが来ない」と感じることになります。
相談者は、2〜3件を見比べてから電話しています
士業への相談は、生活や経営の大事な場面で発生します。相続、労務トラブル、許認可、税務調査。どれも失敗したくない相談なので、いきなり1件目に電話する人は多くありません。
紹介で名前を聞いた場合でも、検索して事務所の様子を確かめます。同時に、ほかの事務所も2〜3件は見ています。サイトは、その比較の場に置かれる資料だと考えてください。
だから書くべきは「最後に残る理由」です
比較されている以上、必要なのは派手さではありません。相談者が最後に1件を選ぶとき、決め手になるのは次のようなことです。
2〜3件を見比べる
不安が消えた事務所が残る
問い合わせ
青く塗った部分が、サイトの仕事です。この人に話して大丈夫か。いくらかかるか。何をしてくれるのか。この3つの不安を消せた事務所が残ります。集客というより、選ばれる準備を整える場所だと考えると、書く内容が決まってきます。
資格ごとに、書けることが違います
ここが、ほかの業種にはない士業特有の注意点です。士業の広告には、それぞれの法律と所属会の規程による定めがあり、資格によって考え方も運用も違います。
制作会社は、この分野の専門家ではありません。集客を優先して強い言葉を提案してくることもあります。ですが、責任を問われるのは事務所側です。原稿は必ず先生ご自身が確認してください。
| 資格 | 確認先(所属会の規程) |
|---|---|
| 税理士 | 日本税理士会連合会および所属税理士会の業務広告に関する規程 |
| 行政書士 | 日本行政書士会連合会および都道府県会の会則・規則 |
| 社会保険労務士 | 全国社会保険労務士会連合会および都道府県会の会則 |
| 弁護士 | 日本弁護士連合会の業務広告に関する規程・指針 |
細かい運用は会ごとに違いますが、共通して問題になりやすい書き方はほぼ同じです。次の4つは、資格を問わず避けてください。
❌ 避けたい書き方
- 結果の保証:「必ず許可が下ります」「絶対に節税できます」
- 根拠のない順位・比較:「地域No.1」「県内最安」「他事務所より丁寧」
- 他事務所を下げる表現:品位を欠く表示にあたる可能性があります
- 依頼者の声を効果の保証のように見せる:掲載する場合も同意と表現の範囲に注意
逆に言えば、誠実に書けば、たいていは問題になりません。派手な言葉を削っても、選ばれる理由は十分に伝えられます。判断に迷う表記があれば、公開前に所属会へ確認してください。ここでご紹介しているのは一般的な考え方で、最終的な判断は各会の定めによります。
いちばん多い失敗は「料金を書かないこと」
広告のルールに気をつけたうえで、それでも改善余地が大きいのがここです。事務所サイトを拝見していて、もっとも多く見つかる課題が料金がどこにも書いていないことです。
書かない理由も分かります。案件によって幅がある、安売り競争に巻き込まれたくない、まず話を聞いてから決めたい。どれも当然の感覚です。
ただ、相談する側からすると、料金の見当がつかないことが問い合わせをためらう最大の理由になっています。「聞いたら断りにくくなるのでは」と考えて、金額を出している別の事務所に流れてしまう。実際、料金ページを足しただけで問い合わせが増えることは珍しくありません。
金額そのものを出しにくい場合は、次の3段階のどこかで書いてみてください。
1総額で書く(いちばん強い)
「相続税申告 一式◯◯万円〜(財産総額◯円まで)」のように、条件つきで総額を出す形です。そのまま依頼につながりやすいのは間違いなくこの書き方です。定型的な手続きが多い事務所に向きます。
2幅で書く(現実的な落としどころ)
「月額顧問料 2万円〜5万円(訪問頻度と記帳の範囲によります)」のように、レンジと変動要因をセットで書きます。幅の理由まで書くのがコツで、これがないと不信感につながります。
3決まり方だけ書く(最低ライン)
金額をいっさい出せない場合でも、「売上規模・訪問頻度・記帳を誰がやるかで決まります」と何で変わるのかだけは書いてください。相談者は、自分がどのあたりに入るかを想像できるようになります。これだけでも、何も書かない状態とは大きく違います。
あわせて、初回相談が無料かどうか、何分でいくらか、その場で契約を迫らないかも書いておいてください。顧問先を替えたいという相談は、とても言い出しにくいものです。入口のハードルを下げる一文が効きます。
相談につながるサイトの4つの土台
料金以外の部分は、次の4つを押さえれば十分です。凝った機能より、この土台が揃っているかで結果が変わります。
- 先生の顔写真と経歴:士業は人で選ばれます。事務所の外観より、ご本人の写真を大きく。所属会と登録番号も添えてください。
- 取扱分野を具体的に:「税務全般」ではなく「製造業の顧問」「相続と農地」のように、業種や場面で書きます。
- 初回相談の流れ:何を持っていけばよいか、当日どう進むか。初めての方の緊張がやわらぎます。
- 対応エリアと連絡手段:訪問できる範囲、オンライン面談の可否、土日対応の有無まで。
この4つを地域の事情に合わせてどう書くかは、記事後半の地域別リンクから各記事へ進めます。たとえば車移動が中心の地域なら駐車場の記載が効きますし、都市部に近い地域なら他都市の事務所と比べられる前提で書く必要があります。
※「うちの事務所は何から直せばいいか」という整理だけでも、無料でご相談いただけます(相談だけでも大丈夫です)。
士業のホームページ制作の費用相場
費用の目安です。士業サイトは取扱分野を何ページ作るかで、おおよそ決まります。
| 内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 事務所紹介中心・テンプレート活用 | 15万〜40万円 |
| オリジナルデザイン・取扱分野ページ付き | 40万〜80万円 |
| 取材・撮影・分野別ページを本格的に作る | 80万〜150万円 |
| コラム運用・集客支援まで任せる | 150万円〜 |
士業サイト特有の事情として、原稿の確認に時間がかかる点は見込んでおいてください。専門的な内容を扱うぶん、先生のチェックが必ず入ります。ここを甘く見ると、制作期間が延びて費用も膨らみます。逆に言えば、確認の時間さえ確保できれば、士業サイトは比較的スムーズに進みます。
見積書の項目が何を指すのかはホームページ制作の費用相場に、依頼先の比べ方は失敗しない制作会社の選び方にまとめています。公開後の月額が気になる方はホームページの維持費・保守費用の相場を、制作費に使える制度は補助金の活用ガイドをどうぞ。
地域で探すなら:エリア別の士業ホームページ制作
同じ士業でも、商圏の性格によって効く書き方は変わります。地域ごとの具体的な話は、それぞれの記事にまとめています。
- 西宮の士業のホームページ制作|個人の相談者に届く情報設計
- 尼崎の士業のホームページ制作|ものづくりの街で法人の顧問先を増やす
- 姫路の士業のホームページ制作|播磨全域の広域商圏から相談を集める
掲載エリア以外の事務所でも、オンラインでのご相談で全国対応しています。ふだん受けている相談内容をうかがったうえで、必要な見せ方をお伝えします。
料金の書き方から、ご一緒します
「どこまで金額を出していいか分からない」「広告の規程に触れないか不安」——そんな段階のご相談で大丈夫です。実際の業務内容をうかがいながら、書ける範囲と優先順位を無料で整理します。いきなり発注ではありませんし、しつこい営業もしません。
Studio Experts加盟/建築・人材などの制作実績、士業・飲食の制作サンプルあり・オンライン相談で全国対応
よくある質問
Qホームページを作れば、紹介に頼らなくてよくなりますか?
紹介がゼロになるわけではありませんし、その必要もありません。実際には「紹介で名前を聞いた人が検索して確かめる」場面がいちばん多く、そこで後押しになります。紹介を活かしつつ、別の入口も持つ、という考え方が現実的です。
Q広告の規程は、制作会社が確認してくれますか?
制作会社は各会の規程の専門家ではありません。一般的に問題になりやすい表現を避ける提案はできますが、最終確認は先生ご自身と所属会にお願いすることになります。公開前の確認工程をスケジュールに入れておいてください。
Q複数の資格を持っています。分けて見せるべきですか?
1つのサイトにまとめて構いません。ただし、相談者は自分の悩みで探すので、資格名ではなく「相続」「就業規則」のように分野で入口を作ってください。ワンストップで頼めることは強みなので、そこははっきり書いてよいところです。
Qコラムは書いたほうがいいですか?
月1本でも効果があります。制度改正の解説より、実際によく聞かれる質問への回答のほうが読まれます。書く時間が取れない場合は、話した内容を制作側で文章にまとめ、最終確認だけお願いする進め方もよく使います。
参考情報
- 日本税理士会連合会(公式)(税理士制度・業務広告の規程)
- 日本行政書士会連合会(公式)(行政書士制度の確認)
- 全国社会保険労務士会連合会(公式)(社労士制度の確認)
- 日本弁護士連合会 会規・規則(業務広告に関する規程・指針)
- IT導入補助金(公式)(制度・公募の確認)
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- コーポレートサイトとは?目的やメリットをご紹介
- ホームページの維持費・保守費用の相場|月額の内訳と抑え方
まとめ
士業のホームページ制作費は、事務所紹介中心で15万〜40万円、取扱分野ページを備えたオリジナルデザインで40万〜80万円、取材・撮影まで含めると80万円〜が目安です。
そして士業サイトの役割は、数を集めることではありません。比較されている場に置かれる資料として、相談者の不安を消すことです。この人に話して大丈夫か、いくらかかるか、何をしてくれるのか。とくに料金は、総額・幅・決まり方のどれかで必ず触れてください。ここを空欄にしている事務所が多いぶん、書くだけで差がつきます。
広告の規程にだけ気をつけて、あとは実際に受けている相談の言葉で書けば十分です。何から手をつけるか迷ったら、ふだんの業務内容をうかがいながら一緒に整理します。費用感も進め方も、無料でお伝えします。