「予算は30万円くらいで考えています」
こうおっしゃっていただけると、打ち合わせはその場で具体的になります。金額が決まっていれば、そこに入るものと入らないものを並べられるからです。
逆にいちばん止まるのは、相場だけを調べたあとです。5万円から数百万円という幅を見てしまうと、自社がどこに当てはまるのか分からなくなります。
この記事では、逆から考えます。相場から予算を決めるのではなく、手元にある金額から、その範囲で何ができるかを逆算します。10万円・30万円・50万円・100万円の4つで区切って、変わるものと変わらないものを整理しました。
その予算、全額を制作費には使えません
最初に、がっかりさせるかもしれない話をします。
用意した予算は、まるごと制作費に回せるわけではありません。ホームページには、作る費用とは別に、持ち続けるための費用があります。ここを先に引いておかないと、公開したあとに「毎年お金がかかるとは思わなかった」となります。
引いておくのは2つです。ドメイン(サイトの住所になるURL)とサーバー(サイトのデータを置く場所)の代金、そして公開後の保守費です。
前の2つは金額がはっきりしています。たとえばエックスサーバーのスタンダードプランなら、12か月契約で月1,100円(税込)、初期費用は0円です(2026年9月時点)。年間で13,200円になります。同社では12か月以上の契約で独自ドメインが無料になる特典もあります。
ドメインを別に取る場合は、毎年の更新料がかかります。XServerドメインの価格表(2026年9月時点・税込)では、更新料は.comが1,721円、.jpが3,102円、.co.jpが4,136円です。
つまり最低限の固定費は年1.5万〜2万円ほど。予算30万円なら、初年度に制作へ回せるのは28万円台と考えておくと安全です。
保守費は依頼先と内容で変わります。月額の内訳はホームページの維持費・保守費用の相場で分けて書いているので、そちらをご覧ください。
💡 ポイント
法人の信用を意識して.co.jpを選ぶなら、更新料は毎年かかり続けます。原則として登記のある1組織に1つだけのドメインなので、信用の裏付けにはなります。年4,000円台を「毎年払う価値があるか」で決めてください。
10万・30万・50万・100万で変わるのは「工程」です
予算が3倍になったら、ページ数も3倍になる——と思われがちですが、そうではありません。
増えるのは、ページの枚数ではなく工程の数です。打ち合わせと設計が入るか、写真を撮るか、原稿を整える人がつくか。ここが金額の差になります。
4つの金額帯で並べると、こうなります。
| 予算の目安 | 現実的な作り方 | この金額で入るもの | 入らないもの |
|---|---|---|---|
| 〜10万円 | 自分で作る、またはテンプレートへの流し込み。1〜3ページ | 公開までの作業 | 打ち合わせ・設計・撮影・原稿 |
| 30万円前後 | テンプレートを土台にデザイン調整。5ページ前後 | 打ち合わせ・簡単な設計・スマホ対応 | 撮影・集客の作り込み |
| 50万円前後 | デザインをオリジナルに寄せる。5〜10ページ | 上記+写真撮影1回・原稿の整え | 広告運用・システム連携 |
| 100万円〜 | 目的から設計して作る。ページ数は目的次第 | 上記+集客や採用の構成づくり・機能の追加 | (目的により相談) |
金額の幅そのものはホームページ制作の費用相場【全国・中小企業向け完全ガイド】に種類別・依頼先別でまとめています。ここからは、それぞれの金額帯で実際に何が起きるかを書きます。
〜10万円:多くの場合、1ページで足ります
この金額でご相談をいただくと、私たちはまず「何ページ必要ですか」ではなく「そのサイトは、誰に何を見せるためのものですか」とお聞きします。
理由があります。10万円前後のご相談は、実際には今すぐ必要なのは1ページだけというケースが多いのです。名刺を渡した相手が検索したときに、会社の実体と連絡先が出てくればいい。それなら5ページは要りません。
この金額帯では、原稿と写真は自社で用意することが前提になります。文章を書く人・撮る人の手間が入ると、それだけで金額が変わるからです。
一人で事業をされている場合の最小構成は、個人事業主・一人社長のホームページ制作にまとめています。
30万円前後:ここから打ち合わせと設計が入ります
10万円台との一番の違いは、話を聞く時間が入るかどうかです。
テンプレートを土台にする点は変わりません。変わるのは、どの情報をどの順番で置くかを決める工程が入ることです。ここが入ると、同じテンプレートでも問い合わせの数が変わります。
現場の感覚でいうと、この金額帯がいちばん多いご相談です。そしていちばん判断が難しいのもここです。30万円で「5ページ・デザインもオリジナル・写真も撮影」と書かれた見積もりが出てきたら、どこかが薄くなっていると考えてください。
何が含まれているかは、金額ではなく前提条件の欄に出ます。ホームページ制作の見積書の読み方で項目ごとに見ていきます。
50万円前後:写真に回せるかどうかで見え方が変わります
この金額帯になると、写真撮影を1回入れられます。
そして実務では、ここがいちばん効きます。デザインの細かい調整に10万円足すより、店内や現場やスタッフの写真をきちんと撮るほうが、見た瞬間の印象が変わります。フリー素材のオフィス写真が並んだサイトは、非IT層の読者にも「借り物だ」と伝わってしまいます。
誰に頼むか、自分で撮ってよいのはどこまでかは、ホームページ用の写真は誰に頼む?で判断基準を書きました。人が写るかどうかで分かれます。
100万円以上:豪華にするのではなく、作り分けます
100万円の予算でご相談いただいたとき、いちばん多い誤解が「その分デザインを豪華にする」という方向です。
そこには使いません。この金額帯でやるのは、目的ごとに構成を作り分けることです。集客なら検索で探されている言葉に合わせてページを分ける。採用なら求職者向けに別の入口を用意する。予約や在庫の仕組みとつなぐなら、そこに費用が乗ります。
合同会社Zekkはホームページ制作だけでなくシステム開発も自社で行っているので、「既製のサービスで足りるのか、作る必要があるのか」は最初の相談の段階でお伝えできます。作らないほうが安く済むなら、そう言います。
採用目的の場合の費用感は採用サイト制作の費用相場と作り方をご覧ください。
※自社の予算でどこまでできるかは、無料でご相談いただけます。金額を先にお伝えいただいたほうが、話が早く進みます。
予算が足りないときは、削る順番があります
見積もりが予算を超えた。よくあることです。
このとき「全体を一律に安くしてください」と言うのが、いちばん損な頼み方です。どこが薄くなったか分からないまま金額だけが下がります。削るなら、順番があります。上から順に検討してください。
この順番には理由があります。上のほうは後から取り戻せるもの、下にいくほど作り直しが必要になるものです。ページは足せますが、土台のデザインを後から入れ替えるのは作り直しに近くなります。
原稿を自社で書く場合の進め方はホームページの文章が書けないときの進め方に手順を書きました。書くのではなく話して録音するほうが早いです。
⚠️ 安くなっても成果が消える削り方
- ヒアリングと設計を省く(何を載せるかが決まらないまま形だけできます)
- スマホでの見え方を後回しにする(見られているのはほとんどスマホです)
- 問い合わせフォームの動作確認を省く(届いていないことに気づけません)
この3つは金額としては小さいのに、抜くと「公開したのに何も起きないサイト」になります。スマホ側の直し方はホームページがスマホで見づらいと何を損しているか、フォームの作り方は問い合わせフォームの作り方をご覧ください。
最初に決めるものと、後から足せるもの
予算が限られているときに効くのは、「今やらなくていいこと」を見分けることです。
後から足せるものに初年度の予算を使ってしまうと、肝心なところが薄くなります。逆に、最初に決めておかないと後で高くつくものもあります。
とくにドメインの名義は最初の1回しかありません。制作会社の名義で取られていると、あとで移すときに手間も費用もかかります。契約前に確認してください。この点はホームページのドメイン・データ・著作権は誰のもの?で詳しく書いています。
予約や在庫の仕組みは、必要になってから足せます。費用と選択肢はホームページに予約システムを入れるにはをご覧ください。
「ご予算はいくらですか」と聞かれたら、言ったほうが得です
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
予算を聞かれると、多くの方が身構えます。言ったら、その金額をまるごと使われるのではないか。無理もありません。
ただ、言わない場合に何が起きるかを考えてみてください。制作側は、外れないようにいちばん安全な=いちばん厚い構成で見積もりを出します。結果として予算より高い金額が出てきて、そこから削る相談が始まります。時間が余計にかかります。
相見積もりを取るときは、もっと影響が出ます。3社が3つの前提で出してくるので、金額が違っても何が違うのか分かりません。前提をそろえる意味でも、予算は先に伝えたほうがいいです。
この4つが言えていれば、制作側は予算内の構成を組めます。決まっていないことを無理に決める必要はありません。
依頼先ごとの考え方の違いは制作会社とフリーランス、どっちに頼む?、選ぶときの見方は失敗しないホームページ制作会社の選び方にまとめています。
予算を増やさずに、中身を増やす3つの方法
最後に、同じ金額でできることを増やす方法です。どれも実際に使われています。
1つめは、原稿を自社で用意することです。制作側の作業から文章づくりが外れるぶん、その費用を設計や写真に回せます。話せる内容なら書けます。
2つめは、写真の分担を決めることです。商品や店内は自社のスマートフォンで撮り、人が写るものだけプロに頼む。これで撮影費の性格が変わります。
3つめは、補助金です。ホームページ制作で候補になる制度があり、採択されれば実質の負担が下がります。ただし申請の手間と時期の制約があります。制度の内容と注意点はホームページ制作で使える補助金にまとめました。
💡 ポイント
税務上も、制作費を一括で経費にできるか資産として扱うかの線引きがあります。予算の区切りと無関係ではありません。考え方はホームページ制作費の勘定科目と経費処理にまとめています。実際の処理は顧問税理士か所轄の税務署にご確認ください。
安さそのものを優先する場合に何が起きるかは、格安ホームページ制作はなぜ安い?で別に書いています。あわせてご覧ください。
よくある質問
Q予算10万円でも相談していいですか?
構いません。その金額でできる形をお伝えします。合わない場合は「今回は自分で作るほうがいい」とお伝えすることもあります。無理に上の金額をおすすめはしません。
Q予算は税込で考えるべきですか?
制作会社の見積もりは税抜で書かれていることが多いので、税込の総額を必ず確認してください。50万円の見積もりなら、支払いは55万円になります。ここで予算をはみ出す相談は実際にあります。
Q初期費用0円・月額制なら予算内に収まりますか?
月々の負担は軽くなりますが、契約期間を掛けた総額で比べてください。月1万円で5年なら60万円です。契約の形によっては途中でやめられないものもあります。仕組みはホームページのリース契約に注意で説明しています。
Q予算が決まっていない段階で見積もりを頼んでもいいですか?
問題ありません。その場合は「いくらまでなら出せるか」ではなく「何を解決したいか」を先に話してください。そこから複数の金額帯で出すことができます。
参考情報
- 料金|エックスサーバー(レンタルサーバーの月額・初期費用)
- 価格一覧|XServerドメイン(取得・更新料金)
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)公式サイト
- 小規模事業者持続化補助金|ミラサポplus(中小企業庁)
関連記事
- ホームページ制作の費用相場【全国・中小企業向け完全ガイド】
- 格安ホームページ制作はなぜ安い?後悔しないための確認ポイント
- ホームページ制作の見積書の読み方|項目別チェックと相見積もりの比べ方
- ホームページの維持費・保守費用の相場|月額の内訳と抑え方
- 個人事業主・一人社長のホームページ制作|費用を抑えつつ信用をつくる最小構成
まとめ
予算からの逆算は、3つの順番でできます。
まず、上限から固定費を引く。サーバーとドメインで年1.5万〜2万円、それに公開後の保守費です。残りが制作費です。
次に、その金額で入る工程を確かめる。10万円台なら原稿と写真は自社、30万円前後で打ち合わせと設計、50万円前後で撮影、100万円からは目的別の作り分けです。ページ数ではなく工程で変わります。
足りないときは、ページ数・原稿・写真の順に削る。設計とスマホ対応とフォームの確認は残してください。ここを抜くと、安くなっても何も起きません。
そして、予算は隠さずに伝えてください。上限と優先したいこと1つを言うだけで、話は一気に具体的になります。
この予算で何ができるかだけでも聞いてください
合同会社Zekkでは、ホームページ制作・LP制作のご相談を承っています。ご予算の上限をお伝えいただければ、その範囲で現実的にできる構成と、削るべきところをお伝えします。
「まだ作ると決めたわけではない」という段階でも構いません。ご相談は無料です。しつこい営業はいたしません。
Studio Experts加盟/建築・人材などの制作実績、士業・飲食の制作サンプルあり・オンライン相談で全国対応