ホームページ用の写真は誰に頼む?|撮影の費用相場と自分で撮る場合のコツ

ホームページを作ろうと動き出して、最初に手が止まるのが写真です。文章はなんとか書ける。ロゴもある。でも載せる写真が一枚もない、という状態で止まってしまう。

実際、制作の打ち合わせで「あとは写真だけですね」となってから、そのまま二週間、一か月と空いてしまうことがあります。原稿より写真のほうが、用意するハードルは高いのです。

そこで出てくるのが、この二つの疑問です。プロのカメラマンに頼むべきか、自分のスマホで撮って済ませていいのか。頼むとしたら、いくらかかるのか。

この記事では、その判断の基準と費用の目安を書きます。あわせて、あとから困る人が多い写真の権利の話にも触れます。撮影料を払えば写真は自由に使える、と思っている方が本当に多いのですが、そうではありません。

📋 この記事でわかること
  • ✓プロに頼むか自分で撮るかの、はっきりした分かれ目
  • ✓撮影費用の目安と、同じ内容でも金額が変わる理由
  • ✓撮影料を払っても写真の著作権は移らない、という仕組み
  • ✓スマホで撮るときに効く、具体的なコツ
  • ✓スタッフの顔写真で、あとから起きるトラブル

写真がないせいで、制作は止まります

「原稿は頑張って書きます」とおっしゃる方は多いのですが、写真について同じ意気込みを聞くことは、あまりありません。

けれど現場の感覚でいうと、公開が遅れる理由として一番多いのは写真です。原稿は書けば終わりますが、写真は「撮る日を決める」という別の予定が必要になります。そこで一段、腰が重くなる。

しかも、手元に写真がまったく無いわけでもないのが、やっかいなところです。

建築や設備の会社であれば、施工中に撮った現場写真がスマホに何百枚も入っています。ところが実際に見せていただくと、記録としては十分でも、サイトに載せるには厳しいものが大半です。ピントが手前の資材に合っていたり、逆光で建物が真っ黒になっていたり、養生シートや置きっぱなしの工具が写り込んでいたり。

記録のための写真と、見てもらうための写真は、別物です。

💡 ポイント

写真の用意は、制作会社を探すのと同時に動き始めてちょうどいいくらいです。見積もりが出てから考え始めると、そこで一か月止まります。

何を準備しておけばいいかは、ホームページ制作を依頼する前に準備するもので素材ごとに整理しています。あわせてご覧ください。

頼み先は4つ。分かれ目は「人が写るかどうか」

まず結論からお伝えします。判断に迷ったときの基準は、費用でも枚数でもありません。その写真に人が写るかどうかです。

サイトに載せたいのは、何の写真?商品・料理・店内施工現場・外観社長・スタッフ接客している場面まず自分で撮るスマホで足りますプロに頼むここが一番差が出ます予算が限られるなら、人物だけプロに頼む
頼み先の分かれ目は「人が写るかどうか」。物や空間はスマホでも十分に戦えます。

商品、料理、店内の様子、完成した建物。こうした「動かないもの」は、条件さえ整えればスマートフォンでかなりのところまで撮れます。いまのスマホのカメラは、十年前の一眼レフに迫る画質を持っています。

一方で、人物は別です。社長の顔写真、働いているスタッフの様子、接客している場面。人が写った瞬間、素人とプロの差がはっきり出ます。

理由は機材ではありません。緊張している人をほぐして、自然な表情を引き出す。その一点です。カメラの性能でどうにかなる部分ではないので、ここだけはお金を使う価値があります。

頼み先ごとの特徴を並べると、こうなります。

頼み先 費用の目安 向いているもの
自分のスマホ 0円 商品・料理・店内・施工現場・外観
出張撮影のマッチングサービス 1時間あたり8,000〜20,000円程度 店舗の外観と内観、スタッフの集合写真
フリーランスのカメラマンに直接 半日・1日の拘束で見積もり 人物、サイト全体で雰囲気を揃えたい撮影
制作会社にまとめて任せる カメラマンの費用+ディレクション費 ページ構成と撮るカットを合わせたいとき

出張撮影サービスの金額は、くらしのマーケットに掲載されている店舗・会社向け出張撮影の料金(2026年9月時点)を目安にしています。実際には拘束時間や納品枚数で変わります。

たとえば、飲食店であれば料理の写真はご自身で撮り、店主とスタッフが並んだ一枚だけをプロに頼む。この組み合わせが、費用対効果としてはいちばん素直です。

なお、制作会社にまとめて任せる場合は、撮影費が見積もりのどこに入っているかを必ず確認してください。「撮影一式」とだけ書かれていて中身が分からない見積もりは、あとで揉めます。見積書の読み解き方はホームページ制作の見積書の読み方にまとめています。

同じ内容でも、金額が変わる理由

「2時間の撮影」で相見積もりを取ったのに、金額が倍以上違った。そういうご相談をいただくことがあります。

カメラマンの見積もりは、撮影している時間だけで決まっているわけではありません。動いているのは、だいたいこの5つです。

見積もりを動かす5つの要素
1拘束時間

撮影そのものより、移動と機材の設置・撤収に時間がかかります。1か所か、3か所を回るかで大きく変わります。

2納品するカット数と、レタッチの有無

撮ったデータを全部渡すのか、選んで色を整えたものを渡すのか。ここが一番はっきり効きます。レタッチ(色味や明るさの調整)は撮影と同じくらい手間のかかる作業です。

3使える範囲

ウェブサイトだけか、パンフレットや広告にも使うか。使う範囲が広いほど金額は上がります。安く見えた見積もりが「Web掲載限定」だった、というのはよくある話です。

4出張費と機材

遠方なら交通費が乗ります。暗い店内や夜の外観では照明機材が要るので、その分も加わります。

5人物が入るかどうか

人物撮影は時間の読みにくさが違います。表情が固いまま終われば撮り直しになるため、その分が見込まれます。

見積もりを比べるときは、金額の数字ではなくこの5つが同じ条件になっているかを見てください。とくに2番と3番です。ここが違うまま並べても、比較になりません。

撮影料を払っても、写真の著作権は移りません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

撮影費を払った。データも受け取った。だから自由に使える。そう思っている方が、とても多いです。けれど法律の建てつけは違います。

写真の著作権は、撮った人に発生します。公益社団法人日本写真家協会も、著作権は撮影した時点で自動的に写真家に発生すると説明しています。料金を払ったからといって、それだけで権利が移るわけではありません。

撮影料を支払う写真データが納品される著作権は撮影者のまま契約書に一文入れて、はじめて動く① 譲渡してもらう「第27条・第28条を含む」と書く② 使う範囲を決める媒体・期間・改変の可否を明記するどちらも無い口約束が、いちばん危ない
お金を払っただけでは著作権は移りません。譲渡か、使用範囲の許諾か。どちらかを書面にします。

もう少し細かい話をします。著作権法の第61条は、著作権は契約で譲り渡せると定めたうえで、第2項でこう決めています。第27条(翻訳権・翻案権など)と第28条(二次的著作物の利用に関する権利)が譲渡の目的として書かれていないときは、それらの権利は譲った側に残ったものと推定する、と。

実務でどう効くかというと、こうなります。

⚠️ 契約書に書いていないと、こうなることがあります
  • ✕サイト用に撮った写真を、チラシや会社案内に使えない
  • ✕写真を切り抜いたり、文字を重ねたりする加工ができない
  • ✕サイトをリニューアルしたときに、写真だけ引き継げない
  • ✕数年後に連絡を取ろうとしたら、そのカメラマンと連絡がつかない

最後のひとつが、実際には一番困ります。当時のカメラマンが廃業していたり、担当していた制作会社が無くなっていたりすると、確認のしようがなくなります。

避け方は単純です。撮影を依頼するときに、次のどちらかを書面にしてください。

① 著作権を譲ってもらう場合

契約書や発注書に「本件写真に関する著作権(著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む)を譲渡する」と書きます。このカッコの中の一文がないと、加工や二次利用の権利が撮影者に残ったものと推定されます。

なお、著作者人格権(氏名を表示する権利など)は、そもそも譲渡できません。ここは「行使しない」と取り決めるのが一般的です。

② 使える範囲を決めてもらう場合

譲渡ではなく、使わせてもらう形です。カメラマンによっては譲渡に応じないこともありますし、その場合はこちらで十分です。

決めておくのは、この3点です。

  • 媒体:ウェブサイト、SNS、印刷物、広告のどこまでか
  • 期間:何年か、あるいは期間の定めなしか
  • 改変:トリミングや文字を重ねる加工をしていいか

どちらの形でも構いません。危ないのは、何も決めていない状態です。撮影の当日に口頭で「自由に使ってくださいね」と言われた、というだけでは、数年後に何も残りません。

サイト全体の所有権についてはホームページのドメイン・データ・著作権は誰のもの?で扱っています。制作会社を変えるときの話はそちらをご覧ください。

自分で撮るなら、ここだけ押さえてください

では、スマホで撮る場合です。機材を買う必要はありません。押さえるところは、そう多くありません。

光は、窓から入れる

いちばん効くのがこれです。天井の蛍光灯だけで撮ると、影が真下に落ちて、色も黄色く濁ります。

窓際に置いて、横から自然光を当ててください。それだけで別物になります。晴れた日の直射日光よりも、薄曇りの日の窓辺がきれいに撮れます。影が柔らかくなるからです。

夜の店舗の外観を撮るなら、日没直後の空がまだ少し青い時間帯が狙い目です。真っ暗になってからだと、看板だけが浮いて寂しい絵になります。

背景から、要らないものを消す

撮る前に、写り込む範囲を一度見渡してください。段ボール、コード、私物のカバン、掲示物。これらが一つ入るだけで、写真の印象が落ちます。

料理なら、テーブルの上を思い切って減らします。引き算のほうが効きます。

横向きで、余白を多めに撮る

サイトのトップに使う写真は、横長で使うことが多くなります。縦で撮ったものを横に切ると、上下が足りなくなります。

そして、被写体を画面いっぱいに入れないでください。上下左右に余白を残して撮っておくと、あとでどんな比率にも切り出せます。文字を重ねる余地も生まれます。

同じ場所で、何枚も撮る

プロは一つの構図で何十枚も撮ります。よく見ると、まばたきをしていたり、微妙にブレていたりするからです。

一枚撮って次へ進まず、角度と距離を変えて5枚ずつ撮ってください。選べる状態にしておくことが大事です。

💡 ポイント

スマホの「ポートレートモード」は、人物の背景をぼかしてくれる便利な機能です。ただし髪の毛の輪郭が不自然に欠けることがあるので、通常モードでも同じ構図を撮っておくと安心です。

自分で撮るか任せるかという判断は、サイトそのものをどう作るかという話ともつながります。ホームページは自分で作れる?もあわせてどうぞ。

スタッフの顔写真で、あとから困ること

人が写っている写真は効きます。とくに求職者や、初めて来店する方にとっては、働いている人の顔が見えるかどうかが安心材料になります。人材会社のサイトを作らせていただいたときも、求職者が最初に見るのは「どんな人が働いているか」だという前提でページを組みました。

ただし、顔写真には別の注意点があります。

顔写真は個人情報です

本人が誰か分かる写真は、個人情報保護法でいう個人情報にあたります。個人情報保護委員会も、Q&Aのなかで本人を判別できる写真の画像は個人情報に該当するとしたうえで、利用目的を本人に通知するか、公表することが必要だと説明しています。

難しく考える必要はありません。撮影の前に「会社のホームページと採用ページに載せます」と伝えて、了解をもらっておく。これで足ります。口頭でも構いませんが、記録が残る形のほうが望ましいです。

退職したときの決めごとを、先にしておく

これが実務では一番やっかいです。

辞めた社員の写真が、何年も載ったままになっているサイトを、本当によく見かけます。悪気があるわけではなく、更新の担当者が変わって、誰も気づかないまま残ってしまう。

退職された方から「まだ載っているのですが」と連絡が来てから慌てる、ということにならないよう、撮影の時点で決めておいてください。退職したら速やかに差し替える、という運用にしておけば済みます。

そのためにも、集合写真だけで構成しないほうが安全です。一人ひとりの写真であれば差し替えが簡単ですが、全員が並んだ一枚しかないと、一人辞めるたびに撮り直しになります。

フリー素材は、どこまで使っていいか

費用をかけずに済ませたいとき、まず思い浮かぶのがフリー素材です。結論としては、使っていい場面と、使わないほうがいい場面がはっきり分かれます。

⭕ 使っていい
  • ✓背景として使う、風景や空、質感の写真
  • ✓ブログ記事の挿絵やイメージカット
  • ✓図解やアイコンの素材
❌ 使わないほうがいい
  • ✕トップページの主役になる一枚
  • ✕スタッフ紹介や「私たちについて」のページの人物
  • ✕施工事例や実績として並べる写真

理由は二つあります。

一つは、見る人に伝わってしまうことです。オフィスで笑っている外国人モデルの写真は、同じものを他社のサイトでも見かけます。信用を作るためのページで、借り物の写真を使うと逆に働きます。

もう一つは規約の問題です。無料の素材サイトでも、商用利用の可否、人物写真の使い方、加工の可否が細かく決められていることがあります。使う前に一度、その素材サイトの利用規約を読んでください。「フリー」と書いてあっても、何にでも使えるという意味ではありません。

事例として載せる写真は、なおさらです。実際に手がけていない写真を実績のように見せるのは、事実と違う表示になります。ここは素材の問題ではなく、信用の問題です。

よくある質問

Q写真は何枚くらい用意すればいいですか?

10ページ前後のサイトであれば、30〜50枚あれば十分に組めます。ただし全ページ分をきれいに揃える必要はありません。トップページに使う数枚と、スタッフの写真。この二つが押さえられていれば、残りは後から足していけます。

Q撮影の日は、どれくらい時間がかかりますか?

店舗1か所で、外観・内観・人物をまとめて撮るなら2〜3時間を見ておいてください。人物が入ると、着替えや表情がほぐれるまでの時間が要ります。営業時間外に設定できると、余計な写り込みを気にせず進められます。

Q撮影データは、どの形式でもらえばいいですか?

加工前の元データを含めて受け取っておいてください。サイト用に小さくしたものだけだと、あとでチラシに使いたくなったときに画質が足りません。受け取ったデータは、パソコンとは別の場所にも保存しておくと安心です。

Qすでにある写真だけで、公開まで進められますか?

進められます。写真が揃うまで公開を待つより、いまある素材で公開して、撮影後に差し替えるほうが早く動き出せます。ただしトップページの一枚だけは、最初から納得できるものにしてください。ここは見る人の印象を決める場所です。

参考情報

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まとめ

写真を誰に頼むかは、人が写るかどうかで決めてください。商品や店内や施工現場は、窓からの光を使えばスマートフォンで十分に撮れます。社長とスタッフの写真だけ、プロに頼む。予算が限られているなら、この配分がいちばん効きます。

費用を比べるときは、金額だけを並べないでください。納品カット数、レタッチの有無、使える範囲。この3つが揃っていない見積もりは比較になりません。

そして、撮影を依頼するときは権利の話を一度してください。お金を払っても著作権は自動では移りません。譲ってもらうのか、使う範囲を決めるのか。どちらでもいいので、書面に残してください。数年後の自分が助かります。

まずは今日、窓際で商品を一枚撮ってみてください。天井の照明で撮った写真と並べると、光の違いがはっきり分かるはずです。

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