「ChatGPTでホームページって作れるんですよね?」。最近、打ち合わせの最初にこう聞かれることが増えました。
先にお答えします。作れます。ごまかしても仕方ないので、はっきりそう言うようにしています。
ただ「作れる」と「使える状態で公開されている」の間には、思っているより距離があります。そしてその距離は、デザインの話ではありません。
この記事では、AIがどこまでやってくれて、どこから人の手が要るのかを、順番に切り分けます。AIで済むなら、それがいちばん安いですから、そこも正直にお伝えします。
AIを使うこと自体は、もう特別ではありません
まず前提を揃えさせてください。「AIでホームページなんて」と後ろめたく感じる必要は、まったくないです。
総務省の令和8年版 情報通信白書によると、生成AIについて「積極的に活用する方針である」「活用する領域を限定して利用する方針である」と答えた企業の合計は、日本で68.9%。前年度の49.7%から大きく上がりました。
企業規模別に見ると、大企業74.0%、中小企業58.1%です。中小企業でとくに伸びています。
💡 検索で不利になる、ということもありません
Googleは「検索ランキングを操作することを目的に AI 生成などの自動化を使用してコンテンツを作成している場合」にスパムと見なす、と書いています。裏を返せば、読む人の役に立つために使うぶんには問題ないということです。作り方ではなく中身で見られます。
なので論点は「AIを使っていいか」ではありません。どこまで任せられて、どこから自分がやることになるのかです。そこを見ていきます。
公開までは5工程あります。AIが担えるのは真ん中だけです
ホームページが世に出るまでには、大きく5つの工程があります。まずこの全体像を見てください。
つまりAIが得意なのは「作る」工程で、「公開して、続ける」工程ではないということです。
そして相談に来られる方がつまずくのは、ほぼ4番です。3番まではむしろ順調に進みます。だから余計にショックが大きい。
「AIに書かせる」と「AI搭載ツールを使う」は別物です
ここを混同したまま話が進むことが多いので、先に整理させてください。同じ「AIで作る」でも、必要な作業がまるで違います。
| ① AIにコードを書かせる ChatGPT・Claude など |
② AI搭載のサイト作成ツール Wix・STUDIO など |
|
|---|---|---|
| 出てくるもの | HTMLなどのファイル | ツールの中のサイト |
| 公開作業 | 自分でやる(サーバー契約・アップロード) | ツール内でほぼ完結 |
| 問い合わせフォーム | 別途しくみが要る | 標準でついていることが多い |
| あとで直すとき | またAIに頼むかコードを触る | 画面上で編集できる |
| 向いている人 | 多少の技術に抵抗がない方 | 非IT層はこちら |
社内に詳しい方がいないなら、②から検討したほうが挫折しません。①は「見た目ができた」までは速いのですが、そこから先で止まります。
ツール同士の比較や、そもそも自分で作るべきかの判断軸はホームページは自分で作れる?にまとめています。
いちばん多いつまずきは、フォームです
①で進めた方は、ほぼ同じ場所で止まります。問い合わせフォームです。
見た目のフォームは、AIがすぐ作ってくれます。名前とメールアドレスの入力欄があって、送信ボタンもある。見た目は完璧です。
ところが押しても、どこにも届きません。
メールを送るには、サーバー側に受け取って転送するしくみが必要です。AIが書いたHTMLだけでは、その部分が存在しません。
厄介なのは、エラーも出ないことです。送信ボタンを押すと画面が切り替わり、「送信しました」と表示されることさえあります。それでも届いていません。
⚠️ 公開したら、自分で1通送ってみてください
AIで作った場合にかぎらず、これはやってください。フォームから自分宛てに送って、実際に受信できるかを確かめる。迷惑メールに入っていた、というのも含めてよくある事故です。数分で終わります。
見た目では分からない部分が、いくつか残ります
フォームのほかにも、画面を見ているだけでは気づけない箇所があります。非IT層の方が自力で気づくのは、正直むずかしいところです。
1つ目は実際によく起きます。会社概要や料金表の欄を、それらしい数字で埋めてくることがあります。読む側は本物と区別がつきません。自社の情報は1行ずつ確認してください。
4つ目は軽く見られがちですが、問い合わせフォームはお客様の個人情報を預かる窓口です。安全なつくりの基本は、IPA(情報処理推進機構)が公開している資料が参考になります。
最後の1つについては、公開しただけでは検索に出ないことがあります。この確認はホームページ公開後の最初の3ヶ月にやることで手順を出しています。
※AIで作ったサイトを見てほしい、というご相談も受けています。無料でご相談いただけます。
AIで進めていいケース、やめたほうがいいケース
ここまで注意点を並べましたが、AIで十分なケースは確かにあります。予算は限られているほうが普通ですから、線引きをはっきりさせておきます。
⭕ AIで進めていいケース
- ✓とりあえず存在を示す1ページがあればいい
- ✓問い合わせは電話やSNSで受けている
- ✓試しに作ってみて、感触をつかみたい
- ✓社内に多少パソコンに強い人がいる
❌ やめたほうがいいケース
- ✕そのサイトから売上や採用の応募を取りにいくとき
- ✕医療・士業など、広告のルールがある業種
- ✕個人情報や決済を扱うページを置くとき
- ✕更新を続ける人が社内にいないとき
線引きは「そのサイトが売上を背負うかどうか」です。名刺代わりの1ページならAIで十分ですし、そこにお金をかける必要はありません。
一方で、そこから問い合わせを取りにいくなら、フォームが確実に届くこと、スマホで崩れないこと、書いてある内容に責任が持てることが要ります。ここは見た目の問題ではないので、AIだけでは埋まりません。
プロに頼む場合でも、AIは使ってください
最後に、いちばんもったいない誤解を解いておきます。「頼むならAIは関係ない」ということはありません。
制作を依頼する場合でも、AIが効く場面があります。私たちも、お客様にこう使っていただくことがあります。
💡 発注する側でのAIの使いどころ
いちばん効くのは原稿のたたき台です。制作が止まる原因の多くは原稿で、「文章を書く時間が取れない」で数か月止まります。AIに下書きを出させて、事実だけ直して渡す。これだけで進み方が変わります。白紙から書くより、直すほうがずっと速いです。
制作前に何を用意するかはホームページ制作を依頼する前に準備するものにまとめました。原稿の目安の分量も出しています。
AIで書いた文章をそのまま載せる場合の注意点は、別記事で詳しく扱う予定です。事実確認と、業種ごとの表現のルールが要点になります。
AIで作ったサイト、見ます。直すべきか、作り直すべきか
「AIで作ってみたけど、これで公開していいのか分からない」。このご相談が増えています。フォームが届くか、スマホで崩れていないか、直せば使えるのかを確認してお伝えします。無料です。作り直しをすすめるとはかぎりませんし、しつこい営業もしません。
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よくある質問
QAIで作ったサイトは、検索で不利になりますか?
作り方そのものでは不利になりません。Googleが問題としているのは、検索順位の操作を目的にした自動生成です。読む人の役に立つ内容であれば、AIを使ったかどうかは判断の基準になっていません。
QAIで作ったものを、あとからプロに引き継げますか?
引き継げます。ただし作り方によっては、作り直したほうが安く済むことがあります。判断の目安は、ページ数と、原稿がそろっているかです。原稿が使えるなら、それだけでも十分な資産です。
Q結局、AIで作ると総額はいくらになりますか?
AIの利用料のほかに、ドメイン代とサーバー代は別に必要です。無料で終わるわけではありません。加えて、自分の時間がかかります。何十時間か使うことになるので、その時間を本業に充てた場合と比べてみてください。
QAIを使ったと、サイトに書く必要はありますか?
義務ではありません。Googleは「これはどのように作成されたんだろう」と思わせる内容であれば、開示は有益だとしています。会社案内やサービス紹介であれば、通常は書かなくて差し支えありません。
参考情報
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの活用方針等(企業の生成AI活用方針・企業規模別の割合)
- Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」(AI生成・自動化の扱い)
- IPA「安全なウェブサイトの作り方」(フォームなどを設置する際の安全対策)
- JPRS「ドメイン名のルール」(公開に必要なドメインの基礎)
関連記事
- ホームページは自分で作れる?|ツールで作る場合と制作会社に頼む場合の分かれ目
- ホームページ公開後の最初の3ヶ月にやること|見るべき数字と更新の回し方
- ホームページ制作を依頼する前に準備するもの|原稿・写真・素材のチェックリスト
- ホームページ制作の費用相場【全国・中小企業向け完全ガイド】
- ホームページのドメイン・データ・著作権は誰のもの?
まとめ
AIでホームページは作れます。ただし作れるのは公開までの5工程のうち、真ん中の3つです。ドメインとサーバーの手配、フォームが届くようにすること、公開後に直し続けること。この部分は残ります。
つまずくのはほぼ同じ場所です。見た目のフォームはできるのに、押しても届かない。エラーも出ないので気づきません。公開したら、自分で1通送って確かめてください。
線引きは「そのサイトが売上を背負うかどうか」です。名刺代わりの1ページならAIで十分ですし、そこに費用をかける必要はありません。売上や応募を取りにいくなら、見た目以外の部分が効いてきます。
作ってみたけれど公開していいか分からない、という段階でのご相談も歓迎です。直せば使えるのか、作り直したほうが早いのか、正直にお伝えします。