問い合わせフォームの作り方|項目を増やすと数が減り、減らすと質が落ちる

ホームページのなかで、問い合わせフォームは最後の関門です。ここまで読み進めてくれた人が、実際に連絡をくれるかどうかが決まります。

それなのに、フォームは「とりあえず付けておくもの」として扱われがちです。制作の打ち合わせでも、デザインの話には時間をかけるのに、フォームの項目は最後に5分で決まることが珍しくありません。

そして多くの会社が、同じところで悩みます。項目を増やすべきか、減らすべきか。

この記事では、そのトレードオフの正体と、数を減らさずに質を上げる方法を書きます。あわせて、問い合わせが来ないと思っていたら、実はメールが届いていなかったという事故についても触れます。

📋 この記事でわかること
  • ✓項目数と問い合わせの質が、なぜ逆に動くのか
  • ✓数を減らさずに質を上げる、選択式の使い方
  • ✓必須にしていい項目と、してはいけない項目
  • ✓通知メールが届かなくなる仕組みと、その確認方法
  • ✓個人情報の扱いとして、最低限書いておくこと

項目を増やすと数が減り、減らすと質が落ちる

先に、この記事の前提をお伝えします。フォームの項目数には、正解がありません。あるのはトレードオフだけです。

項目が多いフォームは、書くのが面倒です。当然、途中でやめる人が増えます。

では減らせばいいかというと、そう単純でもありません。項目を減らすと、送信のハードルは誰にとっても下がります。本気の見込み客にとっても、営業をかけたい業者にとっても同じです。

両極端な2つの失敗

❌ 減らしすぎた場合

名前・メール・本文の3つだけ。届く件数は増えますが、営業の連絡が多くを占めるようになります。本文も「詳しく聞きたいです」の一行で、こちらから電話して聞き直すことになります。

❌ 増やしすぎた場合

住所、電話、会社名、部署、予算、時期、希望内容を全部必須に。スマホで入力する気が起きません。「とりあえず聞いてみたい」層が、まるごと消えます。

制作の現場でよくあるのが、この2つの間を行ったり来たりするパターンです。営業電話に嫌気がさして項目を増やし、問い合わせが減って慌ててまた減らす。

この往復から抜けるには、項目の「数」ではなく「聞き方」を変える必要があります。

数を減らさずに質を上げるなら、選択式にする

結論から言うと、いちばん効くのは自由記入をやめて、選択式にすることです。

「ご予算をお書きください」と自由入力の欄を置いても、まず書かれません。金額の相場が分からない人にとって、そこに数字を書くのは怖いからです。

ところが、選択肢として並べておくと答えてくれます。選ぶだけなら、自分の希望を表明したことにならないからです。

自由記入と選択式で、返ってくるものが変わる

聞きたいこと 自由記入だと 選択式にすると
予算 ほぼ空欄になる 〜30万/30〜80万/80万〜/まだ分からない
時期 「なるべく早く」とだけ書かれる 1か月以内/3か月以内/半年以内/未定
相談内容 「ホームページについて」で終わる 新規制作/リニューアル/部分修正/その他
今の状況 聞いても書かれない サイトがない/古い/他社に依頼中

ポイントは、どの選択肢にも「まだ分からない」「未定」を必ず入れることです。

これがないと、決めていない人は選べずに離脱します。そして、まだ決まっていない段階の相談こそ、こちらが関われる余地の大きい案件だったりします。

💡 選択式は、返信の準備にもなります

予算と時期が分かっていれば、最初の返信で具体的な話ができます。「まずはお話を伺わせてください」と返すしかないのと比べて、初回の返信の密度がまったく変わります。選択式は、相手を選別するためではなく、こちらが準備するために置くものだと考えてください。

必須にしていい項目、してはいけない項目

選択式にしたうえで、次に決めるのが必須かどうかです。ここの判断を誤ると、せっかくの工夫が台無しになります。

項目 扱い 理由
名前 必須 返信の宛名に要る。フルネームでなくても構わない
メールアドレス 必須 連絡手段がないと成立しない
電話番号 任意にする 必須にすると件数が目に見えて落ちる。「営業電話が来るのでは」と警戒される
会社名 任意にする 個人事業主や開業前の方が送れなくなる
住所 原則いらない 訪問が前提でなければ不要。エリアを知りたいなら都道府県の選択式で足りる
相談内容(本文) 必須 ただし例文を薄く表示しておくと、書ける人が増える

電話番号は、必須にした瞬間に減ります

これは繰り返しお伝えしたい点です。電話番号を必須にすると、問い合わせの件数は落ちます。

理由は単純で、読む側は「電話がかかってくる」と思うからです。まだ検討段階の人にとって、それは避けたい状況です。

どうしても電話でやり取りしたい場合は、必須にするのではなく、任意にしたうえで一言添えてください。「お急ぎの方はご記入ください。こちらから営業のお電話はいたしません」と書いてあるだけで、記入率は変わります。

送信ボタンの手前で、人は離脱します

項目を整えたら、次は送信までの動きです。ここでの取りこぼしは、見た目では分かりません。

エラーの出し方で、半分は決まります

よくあるのが、送信を押したらページの先頭に戻され、「入力内容に誤りがあります」とだけ表示されるパターンです。

どこが悪いのか分からないので、探すことになります。2回エラーが出たら、多くの人はやめます。

直し方は、該当の欄のすぐ下に、何が問題かを具体的に出すことです。「メールアドレスの形式が正しくありません」のように書けば、その場で直せます。

送れたのかどうかが分からない不安

送信後の画面も見落とされがちです。真っ白なページに「送信しました」とだけ出る作りだと、本当に届いたのか不安が残ります。

完了画面には、次の3つを書いておいてください。

  • 受け付けたこと
  • いつまでに返信するか(「2営業日以内」など具体的に)
  • 自動返信メールが届かない場合の連絡先(電話番号)

3つ目が大事です。自動返信が迷惑メールに入ってしまう可能性は、常にあります。その受け皿を用意しておくかどうかで、取りこぼしが変わります。

「問い合わせが来ない」の何割かは、メールが届いていないだけ

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

フォームからの通知メールが届いていなかった、というご相談は珍しくありません。しかも、気づくまでに数か月かかります。問い合わせが来ないことと、機能が壊れていることの区別がつかないからです。

なぜ、届かなくなるのか

原因の多くは、送信元のドメイン認証が設定されていないことです。

Googleは2024年2月から、個人用Gmailアカウント宛てにメールを送るすべての送信者に対して、要件を定めています。主なものは次のとおりです。

すべての送信者に求められる主な要件
  • ✓送信元ドメインにSPFまたはDKIMのメール認証を設定する
  • ✓メールの送信にTLS接続を使用する
  • ✓迷惑メール率を0.3%未満に維持する

認証されていないメールは、迷惑メールに分類されたり、受信を拒否されたりすることがあります。

SPFやDKIMは、そのドメインから送られたメールが偽物でないことを示す仕組みです。設定はサーバーやドメインの管理画面で行いますが、制作会社に頼めば済む作業です。

💡 大量送信でなくても関係あります

SPFとDKIMの両方、さらにDMARCまで必須になるのは、1日5,000件以上を送る送信者です。問い合わせフォームの通知メールがその件数に届くことはまずありません。ただし「すべての送信者」向けの要件は、件数にかかわらず適用されます。「うちは少ないから関係ない」とはなりません。

テスト送信は、必ず複数の宛先で

公開前のチェックとして、フォームからのテスト送信は必ず行ってください。ただし、1か所に送って終わりでは不十分です。

最低でも、次の3つに送って確認します。

  • 会社の受信用アドレス(普段使っているもの)
  • Gmailのアドレス
  • スマートフォンで受信しているアドレス

そして、迷惑メールフォルダも必ず開いてください。受信トレイに見当たらないだけで「届かない」と判断してしまうと、原因を取り違えます。

公開後にどこを見ればいいかは、ホームページ公開後の最初の3ヶ月にやることにまとめています。問い合わせが来ない原因の切り分け全体は、ホームページを作ったのに問い合わせが来ないをご覧ください。

個人情報の扱いを、1行でも書いておく

最後に、押さえておきたい実務です。問い合わせフォームは、個人情報を受け取る窓口でもあります。

個人情報保護法では、個人情報を取り扱うにあたって利用目的をできる限り特定すること、そして取得にあたって利用目的を本人に通知するか、公表することが求められています。

難しく考える必要はありません。フォームの近くに、次のような一文とリンクがあれば形になります。

ご記入いただいた個人情報は、お問い合わせへの回答およびご連絡のみに使用します。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

あわせて、フォームのあるページが https で表示されているかを確認してください。鍵マークが出ていない状態で個人情報を入力させるのは避けるべきです。

⚠️ 一般的な整理です

ここで書いているのは基本的な考え方です。取り扱う情報の種類や事業の内容によって、必要な対応は変わります。プライバシーポリシーの内容や、個人情報の管理方法については、専門家にご確認ください。

なお、フォームの説明文をAIで書く場合は、AIで書いた文章をそのままサイトに載せる前にもあわせてご覧ください。個人情報の扱いに関する文言は、事実と合っているかの確認が特に必要です。

※ いまのフォームを見て、直したほうがいい箇所をお伝えすることもできます。ご相談は無料です。

よくある質問

Q結局、項目はいくつが適切ですか?

目安としては5〜7項目に収まると、スマートフォンでも負担になりません。ただし数そのものより、自由記入がいくつあるかのほうが効いてきます。選択式が4つと自由記入が1つなら7項目でも重く感じませんが、自由記入が4つ並ぶと3項目でも手が止まります。

Q確認画面は必要でしょうか。

なくても問題ありません。むしろ画面が1つ増えるぶん、離脱の機会も増えます。入力中にその場でエラーが分かる作りになっていれば、確認画面がなくても誤送信はほとんど起きません。年配の方が多い業種では、あったほうが安心されることもあるので、読者層で判断してください。

Q迷惑メールのような自動送信が多くて困っています。

機械による自動送信であれば、ボット判定の仕組みをフォームに入れることで大きく減ります。多くの制作会社が標準で対応できる作業です。一方、人が送っている営業メールはこの方法では止まりません。そちらは選択式の項目を足して、答えにくくするほうが効果があります。

Qフォームとメールアドレスの直接掲載、どちらがいいですか。

両方載せるのが無難です。フォームのほうが項目を揃えられる利点はありますが、「フォームからは送りたくない」という方も一定数います。電話番号も含め、連絡手段は複数あったほうが取りこぼしが減ります。

参考情報

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まとめ

問い合わせフォームの項目数に、正解はありません。増やせば数が減り、減らせば質が落ちる。そのトレードオフがあるだけです。

抜け道は、数ではなく聞き方を変えることでした。自由記入を選択式に置き換える。予算も時期も、選ぶだけなら答えてもらえます。そして、どの選択肢にも「まだ分からない」を必ず入れてください。

必須にしていいのは、名前とメールアドレスと相談内容まで。電話番号を必須にすると件数は落ちます。

そして、見落とされがちな確認がひとつ。通知メールが本当に届いているかです。問い合わせが来ないと思っていたら、メールが迷惑フォルダに入っていただけだった、ということが実際に起こります。

まずは今日、ご自身のフォームから1通送ってみてください。会社のアドレスとGmailの両方に。それだけで分かることがあります。

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