ホームページの文章が書けないときの進め方|型と手順、任せる選択肢

「原稿さえ出せば進むんですよね」

打ち合わせの最後にそうおっしゃって、そこから二か月連絡が止まる。制作の現場では、わりとよくあることです。

サボっているわけではありません。机に向かうたびに、一行目で止まるのです。何から書けばいいのか分からない。書いてみても、どこかで見たような文章になる。それで閉じる。この繰り返しです。

この記事では、その状態から抜ける手順を書きます。文章がうまくなる話ではありません。書く前に決めることを決めて、決まった型に流し込むだけの作業に変える方法です。

📋 この記事でわかること
  • ✓手が止まる本当の原因と、その外し方
  • ✓書かずに話す。録音から原稿を作る手順
  • ✓ページごとの型と、必要な文字数の目安
  • ✓絶対に避けたい書き出しのパターン
  • ✓自分で書く場合と、任せる場合の分かれ目

書けないのは、文章力の問題ではありません

まず、ここを外しておきたいです。

原稿が書けない方のほとんどは、文章が下手なわけではありません。同じ方が、お客様を前にすれば30分でも自社の説明ができます。メールの返信も、ちゃんとした日本語で書かれています。

では何が違うのか。相手が見えているかどうかです。

目の前にお客様がいれば、その人が何に困っているかが分かります。だから答えられる。ところがホームページの原稿は「不特定多数に向けて」書こうとするので、誰に何を言えばいいのか分からなくなります。

万人に向けた文章を書こうとすると、結果として誰にも刺さらない文章になります。そして書いている本人が、書きながらそれに気づく。だから手が止まるのです。

つまり必要なのは書く力ではなく、書く前の準備です。

💡 ポイント

原稿づくりは、写真の用意と並んで公開が遅れる二大原因です。制作会社を探し始めたら、原稿も同時に動かしてください。見積もりが出てから考え始めると、そこから一か月止まります。

最初に決めるのは「誰に」の1つだけ

準備といっても、たくさん決める必要はありません。決めるのは1つです。

これまでのお客様のなかから、1人を思い浮かべてください。

架空のペルソナを作る必要はありません。去年いちばん喜んでくれたお客様でも、いちばん手こずったお客様でも構いません。顔と名前が浮かぶ実在の人を1人。それだけです。

① 相手を1人に決める② その人の質問を並べる③ 答えを声に出す録音して文字に起こす=原稿のもと白い画面に向かって書き始めない
順番を変えるだけで進みます。いきなり本文を書こうとするから止まります。

その人が決まると、次が自動的に決まります。

その人が最初に聞いてきたことを、書き出す

思い出してください。そのお客様が最初に聞いてきたのは何でしたか。

「いくらぐらいかかりますか」「どれくらいで終わりますか」「うちみたいな小さい会社でも大丈夫ですか」「他とどう違うんですか」

たいてい5つか6つに収まります。箇条書きで並べてください。この時点ではまだ文章を書きません。

この質問リストが、そのままサイトの見出しになります。お客様が実際に聞いてくることは、検索する人も同じように知りたがっています。

書こうとせず、話して録音する

ここからが本題です。質問が並んだら、それに声で答えてください。

スマートフォンの録音アプリを開いて、1問ずつ話します。誰かに説明するつもりで。ひとりで話しにくければ、社員の方に聞き役をお願いしてもいいです。

1問あたり2〜3分で十分です。6問なら15分ほどで終わります。

終わったら、その音声を文字にします。いまはスマートフォンの文字起こし機能でも、無料の書き起こしサービスでも、そこそこの精度で変換してくれます。

なぜ、これがうまくいくのか

話し言葉には、書き言葉にない強みがあります。

ひとつは、具体的になることです。書こうとすると「丁寧な対応を心がけております」で済ませてしまう人が、話すと「まず現場を見に行かんと見積もりは出せませんから、初回は必ず伺います」と言います。後者のほうが、圧倒的に伝わります。

もうひとつは、嘘をつかないことです。書き言葉だと、つい「豊富な実績」と書いてしまう。でも口に出すと違和感があるので言いません。話し言葉のほうが、事実に近くなります。

制作の現場でも、社長が普段お客様に話している言葉をそのまま使ったときが、いちばん強い原稿になります。整えるのは後からできます。

⚠️ 文字起こしのあと、ここだけ直す
  • ✕「えーと」「まあ」などの口ぐせを消す
  • ✕長い一文を、2つか3つに切る
  • ✕同じことを2回言っている箇所を、片方消す

これ以上は整えないでください。きれいにしすぎると、話し言葉の良さが消えます。

ページごとの型に、そのまま流し込む

材料が揃ったら、型に入れていきます。ページごとに、書く順番は決まっています。

トップページ

いちばん悩むのがここです。順番はこうしてください。

1誰のための会社か「◯◯でお困りの方へ」から始める2何ができるかサービスを3つまでに絞って並べる3なぜ、ここに頼むのか実績・資格・体制など事実だけ4次に何をすればいいか問い合わせ・電話・来店のどれか1つ
トップページはこの4つの順番で埋めます。埋めた時点で、もう原稿になっています。

1番目が最重要です。「誰のための会社か」を最初に書く。会社の歴史でも、社長の想いでもありません。訪れた人が3秒で「自分に関係あるか」を判断できるかどうかが、すべてです。

サービス紹介のページ

1サービスにつき、この4つを書きます。

  • どんなときに使うものか(お客様の状況)
  • 何をするか(作業の中身)
  • いくらか(幅でも構いません)
  • どう進むか(申し込みから完了まで)

3つめを書かない会社が本当に多いのですが、価格が無いページは問い合わせが減ります。「要相談」だけだと、高いのではと思われて離脱します。幅でいいので出してください。

私たちについてのページ

ここは事実だけで構いません。創業年、人数、対応エリア、資格、これまでに手がけた分野。

想いを長々と書く必要はありません。読む人が知りたいのは「ちゃんとした会社か」であって、創業の物語ではないからです。

文字数の目安

どれくらい書けばいいのか、という質問をよくいただきます。目安はこのくらいです。

ページ 文字数の目安 書くときのコツ
トップページ 400〜800字 長く書かない。各ブロックは2〜3行で足りる
サービス紹介 800〜1,500字/1件 4項目を埋めれば自然にこの量になる
私たちについて 400〜800字 会社情報の表があれば、文章は短くていい
よくある質問 1問100〜200字 実際に聞かれた質問だけ。作らない

足りないより、多すぎるほうが問題です。読まれないページは、長いページです。

どの素材を揃えればいいかは、ホームページ制作を依頼する前に準備するものにチェックリストがあります。写真の用意はホームページ用の写真は誰に頼む?をご覧ください。

この書き出しだけは、やめてください

最後に、避けてほしい型があります。

❌ よくある、届かない書き出し
  • ✕「弊社は創業以来、地域に根ざし……」
  • ✕「お客様第一をモットーに、日々努力を……」
  • ✕「近年、インターネットの普及にともない……」
⭕ 相手の側から始める
  • ✓「雨漏りを何度直しても再発する、という相談が増えています」
  • ✓「見積もりを3社から取ったら、金額が倍違った。よくある話です」

違いは主語です。前者の主語は自分、後者の主語は相手。読む人は自分の悩みを解決したくて来ているので、自分の話から始まらないと読み進めません。

Googleも、検索順位のために書かれた文章ではなく、読む人のために書かれた文章を評価すると公表しています。相手の側から書くことは、そのままSEOの話でもあります。

AIに下書きさせるなら、順番があります

最近は「AIに書かせればいいのでは」とよく聞かれます。使っていいと思います。私たちも下書きには使います。

ただし、順番を間違えると使えません。

AIを使うときの正しい順番
1先に録音と文字起こしを済ませる

材料が無い状態で「ホームページの文章を書いて」と頼むと、どこかで見た一般論が返ってきます。AIに足りないのは文章力ではなく、あなたの会社の事実です。

2文字起こしを渡して「整えて」と頼む

ゼロから書かせるのではなく、自分が話した内容を渡して読みやすく直してもらう。この使い方なら、中身は自社のものになります。

3戻ってきた文章を、必ず自分で読む

AIは「24時間対応」「業界最安値」のような、頼んでいない言葉を自然に混ぜてきます。事実と違う表示は景品表示法の問題になり得ますし、わざとでなくても対象になります。声に出して読めば、言わないはずの言葉はすぐ分かります。

公開前に何を確認すべきかは、AIで書いた文章をそのままサイトに載せる前ににまとめています。

自分で書くか、任せるか

ここまで手順を書いてきましたが、全部を自分でやる必要はありません。

分かれ目は「話す時間が取れるかどうか」です。書く時間ではありません。

進め方 費用の考え方 向いている場合
全部自分で書く 0円(時間はかかる) 書くことが苦でない。社内に書ける人がいる
録音を渡して整えてもらう 制作費に含まれることが多い 話せるが書けない。いちばん現実的な選択
取材して書いてもらう ページ単位のライティング費が別途 時間が取れない。文章で差をつけたい

真ん中をおすすめしています。話すだけなら、ほとんどの方ができます。制作会社に相談するときも「原稿は書けないが、話すことはできる」と最初に伝えてください。それで進め方が変わります。

なお、完全な丸投げはできません。どんなに腕のいいライターでも、その会社の事実は本人からしか出てきません。取材の時間だけは必ず必要になります。そこだけはご承知おきください。

自分でどこまでやるかという判断は、ホームページは自分で作れる?の考え方とも重なります。

よくある質問

Q他社のサイトを参考にして書いてもいいですか?

構成の参考にするのは問題ありません。ただし文章をそのまま写すのは著作権の侵害になります。また、似た文章が並ぶサイトは検索でも評価されにくくなります。参考にするなら「どういう順番で書いてあるか」だけを見て、中身はご自身の言葉で書いてください。

Q原稿が全部そろうまで、制作は始められませんか?

始められます。むしろ全部そろうのを待つほうが危険です。トップページとサービス1件分があれば形は作れるので、先に進めて残りは後から流し込むほうが早く公開できます。原稿待ちで数か月止まるより、そのほうが確実です。

Q専門用語は使わないほうがいいですか?

相手によります。同業者向けなら使ってください。一般のお客様向けなら、初めて出てくるところでカッコ書きの一言を添えるだけで十分です。すべて言い換えると、かえって回りくどくなります。

Q公開したあと、文章は直せますか?

直せます。自分で更新できる作りにしてもらっておけば、その日のうちに変えられます。契約前に「文章の修正は自分でできますか」と確認しておいてください。ここが自分でできないと、一文字直すのに毎回費用がかかります。

参考情報

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まとめ

原稿が書けないのは、文章力の問題ではありません。相手が決まっていないだけです。

やることは3つです。これまでのお客様から1人を思い浮かべる。その人が最初に聞いてきたことを箇条書きにする。その答えを声に出して録音する。

白い画面に向かって書き始めないでください。そこが一番つらい場所です。話してから文字にすれば、具体的で、嘘のない文章になります。

そして、全部そろうまで待たないこと。トップページとサービス1件分があれば制作は動きます。残りは公開してから足していけます。

まずは今日、録音アプリを開いて「うちはどんなお客様に向いているか」を3分だけ話してみてください。それが1ページ目の材料になります。

原稿が書けていない段階でご相談ください

合同会社Zekkでは、ホームページ制作・LP制作のご相談を承っています。「話すことはできるが書けない」という状態からの進め方も、一緒に整理できます。

「まだ作ると決めたわけではない」という段階でも構いません。ご相談は無料です。しつこい営業はいたしません。

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