「まわりはインスタで集客していると聞きます。ホームページとどちらを先にやるべきでしょうか」。予算も時間も限られている経営者の方から、よくいただく質問です。
「両方やりましょう」が正論なのは分かっています。ただ、一人で現場に立ちながら発信まで回すのは、現実的に無理があります。どちらかを先に選ばないといけないのが実情です。
この記事では、制作する側の立場から順番の決め方をお伝えします。ホームページを売りたいから前者を勧める、という書き方はしません。SNSを先にやったほうがいいケースも正直に挙げます。
役割が違います。競合するものではありません
順番の話に入る前に、この2つが何をする道具なのかを整理させてください。ここが曖昧なまま「どっちが効くか」を比べても、答えは出ません。
| 比べる点 | SNS | ホームページ |
|---|---|---|
| 得意なこと | 知らない人に届く | 気になった人の不安を消す |
| 情報の残り方 | 流れて見えなくなる | 積み上がって残る |
| かかる手間 | 毎週の投稿が要る | 作れば当面は動く |
| 費用のかかり方 | 無料。ただし人件費と時間 | 初期費用+月額数千円〜 |
| やめたときの残り方 | 更新が止まると忘れられる | 置いておけば検索され続ける |
いちばんの違いは情報が積み上がるか、流れて消えるかです。SNSの投稿は数日で見られなくなりますが、ホームページのページは何年も残って検索から人を連れてきます。逆に、ホームページには「新しい人に届ける力」がほとんどありません。
名前で検索する
サイトで確かめる
問い合わせ
お客様の動きに当てはめると、この形になります。SNSは前半、ホームページは後半。どちらが優れているという話ではなく、担当区間が違うだけです。
多くの中小企業では、ホームページが先になります
そのうえで順番を聞かれたら、私はホームページを先に勧めることが多いです。理由は3つあります。
① SNSで興味を持った人の行き先がなくなる
SNSを頑張って、実際に興味を持ってもらえたとします。その人は次にプロフィールを開き、リンクを探します。そこに何もないと、せっかく温まった気持ちが冷めます。
これは制作の相談でもよく見る状態です。投稿は素敵なのに、料金も、対応エリアも、予約方法もどこにも書いていない。集めた注目を受け止める場所がないまま、発信だけが続いています。
② SNSは止めた瞬間に効果が消える
投稿を止めると、SNSからの流入はすぐに減ります。繁忙期に更新できなかっただけで、翌月の反応が落ちる。これは珍しいことではありません。
ホームページは、公開したあと放っておいても検索から人が来ます。もちろん更新したほうが良いのですが、止まっても即座にゼロにはなりません。忙しい経営者にとって、この差は小さくありません。
③ アカウントは自分のものではない
SNSのアカウントは、運営会社の規約の中で借りているものです。仕様変更で表示のされ方が変わることもありますし、まれに凍結される話も聞きます。積み上げたフォロワーごと、こちらの都合とは関係なく変わりうると考えておいたほうが安全です。
ホームページは、ドメイン(サイトの住所)を自社名義で持っていれば自分の資産です。制作会社を変えても、作り直しても、同じ場所に残せます。
それでもSNSを先にやったほうがいいケース
ここは正直にお伝えします。次に当てはまるなら、SNSから始めるほうが合理的です。
⭕ SNSが先で問題ないケース
- 写真や動画で魅力が伝わる商材(飲食、美容、雑貨、ネイルなど)
- まだ開業前・開業直後で、存在を知られていない
- 経営者自身が発信を苦にしない。むしろ楽しめる
- いま制作費を出す余裕がない。まず無料でできることから始めたい
とくに4つ目は現実的な理由として十分です。お金がないなら、まず無料でできることをやるのは正しい判断です。開業直後にSNSで足場を作り、売上が立ってからホームページを整える。この順番で回っているお店を何度も見ています。
ただしその場合も、プロフィールのリンク先だけは用意してください。1ページだけの簡単なものでも構いません。料金と場所と連絡先が書いてあれば、取りこぼしはかなり減ります。無料のツールで自作しても十分です。
※「うちの業種ならどっちが先か」だけでも、無料でご相談いただけます(相談だけでも大丈夫です)。
いちばん多い失敗は、SNSに全部書いてしまうことです
順番の話とは別に、両方やっている方によく起きている問題があります。本来ホームページに置くべき情報を、SNSの投稿の中に書いてしまうケースです。
料金表を画像にして投稿する。メニューの変更をストーリーズで流す。予約方法をDMで案内する。どれも悪気なくやっていることですが、これらは数日で流れて見えなくなります。1か月後に興味を持った人は、その情報にたどり着けません。
制作のご相談を受けるとき、「その料金表、サイトにも同じものを置きましょう」とお伝えすることがよくあります。同じ手間で作った情報を、流れる場所と残る場所の両方に置いておく。それだけで問い合わせの取りこぼしが減ります。
💡 SNSに置いたままにしない情報
料金・メニュー、予約や問い合わせの方法、営業時間と定休日、アクセスと駐車場、よくある質問。この5つは、探されたときにすぐ出てくる場所に置いてください。SNSでの発信は続けたうえで、答えの置き場所をサイトに作る、という考え方です。
両方やるとき、時間と予算をどう配分するか
最後に、実際の回し方です。多くの中小企業では、この形が続きやすいと感じています。
- ホームページ:作るときにまとまった費用と時間。公開後は月に1回、お知らせや実績を足す程度
- SNS:費用はかからないが、週2〜3回の投稿を続ける時間が必要。1回15分でも積み重なります
- 役割分担:SNSは日々の様子や新商品、ホームページは料金・流れ・実績といった「変わらない情報」
SNSの更新が続かない場合、無理に毎日投稿しようとしないでください。週1回でも、止まっているより価値があります。続く頻度に落として、その代わりホームページ側の情報を厚くするほうが、結果的に問い合わせは増えます。
投稿からサイトへの具体的なつなぎ方は検索・SNS・メールをつなぐ導線設計に、Instagramからの誘導はInstagramからLPへの導線設計にまとめています。地図から見つけてもらう仕組みはGoogleビジネスプロフィールの整え方もあわせてどうぞ。
うちはどっちが先か、一緒に決めませんか
業種と、いまお使いのSNS、割ける時間をうかがえば、答えはだいたい出ます。「今はSNSを続けたほうがいいですね」とお伝えすることもあります。無理にホームページをお勧めはしません。判断の材料だけでも無料でお持ち帰りください。しつこい営業もしません。
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よくある質問
QSNSがあれば、ホームページはいらないのでは?
発信だけで回っているなら、急いで作る必要はありません。ただ、料金や予約方法を毎回DMで説明しているなら、その手間はサイトで減らせます。問い合わせの取りこぼしが気になり始めたときが、検討のタイミングです。
QどのSNSを使えばいいか分かりません。
お客様がいる場所に合わせてください。写真で伝わる商売ならInstagram、地元の年配層ならFacebook、若い層への認知ならTikTok。全部やろうとせず、1つに絞って続けるほうが結果が出ます。
Qホームページを作れば、SNSはやめてもいいですか?
やめる必要はありません。新しい人に届く力はSNSのほうが強いので、続けられるなら続けてください。ただ頻度は落として構いません。週1回でも、更新が止まっているよりずっと効果があります。
Q予算が少ないのですが、簡単なサイトでも意味はありますか?
あります。1ページに料金・場所・連絡先・雰囲気が分かる写真があれば、受け皿としては機能します。まずそこから始めて、必要になったら足していく形で問題ありません。
参考情報
- 総務省「情報通信白書」(SNS・インターネットの利用状況)
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ(公式)(店舗情報の掲載)
- IT導入補助金(公式)(制度・公募の確認)
- 小規模事業者持続化補助金(公式)(対象・申請の確認)
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まとめ
ホームページとSNSは、競合する道具ではありません。SNSは知らない人に届き、ホームページは気になった人の不安を消す。担当している区間が違うだけです。
順番を選ぶなら、多くの中小企業ではホームページが先になります。SNSで温まった人の行き先が必要だから、止めても効果がゼロにならないから、そして自分の資産として残るからです。ただし、開業直後で認知がない場合や、いま制作費を出せない場合はSNSが先で構いません。そのときも、プロフィールから飛べる1ページだけは用意してください。
そして、料金・予約方法・営業時間・アクセス・よくある質問。この5つをSNSの投稿の中だけに置かないでください。数日で流れて見えなくなります。「うちはどちらから手をつけるべきか」は、業種と使える時間で変わります。現状をうかがいながら、一緒に決めましょう。