クリニック・歯科医院のホームページ制作ガイド|医療広告ガイドラインを守って集患する【全国版】

「ホームページに患者さんの声を載せたいんですが」。クリニックの先生から、最初によく出てくるご相談です。

気持ちはよく分かります。飲食店でも整体院でも、口コミは効きますから。ただ医療機関のサイトでは、この体験談が使えません。医療法で禁止されているためです。

医療は、他のどの業種とも規制のかかり方が違います。しかも2018年の医療法改正でホームページも広告規制の対象になったので、「サイトだから大丈夫」は通用しなくなりました。

この記事では、医療広告ガイドラインで何が禁止されているか・自由診療を載せるときの追加ルール・患者さんが実際に見ている場所・費用相場を、現役のWeb制作者の目線でまとめます。

💡 この記事の対象

医科・歯科のクリニック、診療所、歯科医院が対象です。整体院・接骨院・エステサロンは医療機関ではないため別のルール(あはき法・景品表示法など)になります。そちらは整体院・美容サロンのホームページ制作ガイドをご覧ください。

📋 この記事でわかること

  • 医療広告ガイドラインで禁止されている8つの広告
  • 自由診療を載せるときに必要な「限定解除」の4要件
  • 患者さんが受診前に本当に確認している情報
  • クリニック・歯科医院のホームページ制作の費用相場

保険診療だけか、自由診療も出すかで、作り方が変わります

最初に決めていただきたいのが、この1点です。ここでサイトの難易度も費用も変わります。

保険診療(健康保険が使える通常の診療)だけを扱うクリニックなら、サイトの仕事はシンプルです。診療科目・診療時間・アクセス・予約方法が正確に出ていれば、役割の8割は果たせます。患者さんは「近くて、今日診てもらえるか」を確認しに来ているからです。

一方、自由診療(保険が使えない自費の診療)を載せた瞬間、ルールが一段厳しくなります。矯正歯科、インプラント、審美、美容医療、自費のワクチンなどが該当します。

なぜかというと、自由診療は内容も費用も医療機関ごとにばらつくため、患者さんが判断を誤りやすいからです。そこで後述する「限定解除」の4要件を満たすことが求められます。

歯科医院は、自由診療の出し方がそのまま経営に響きます

歯科は事情が少し違います。矯正、インプラント、ホワイトニング、セラミック——自由診療の選択肢が多く、そこが収益の柱になっているためです。

つまり限定解除の要件を、いちばんフルに使う業態です。メニューごとに費用・期間・回数・リスクを書くとなると、それだけでかなりの分量になります。

ここで起きがちなのが、診療メニューのページを作りすぎて、更新が止まるという状態です。10個のメニューを並べても、費用改定のたびに10ページ直すことになります。

制作でご相談を受けたときは、最初は力を入れるメニューを3つに絞ることをおすすめしています。残りは一覧に名前と費用の範囲だけ載せておき、反応を見てから育てる。このほうが結果的に情報が新鮮に保たれます。

一般歯科の説明そのものは、どの医院のサイトにもあります。差がつくのは、その医院がどの治療に力を入れているかが読み取れるかどうかです。

💡 ポイント

「自由診療は将来やるかもしれないから、とりあえず1ページだけ」——この進め方が一番こじれます。載せるなら要件を満たす必要があるので、載せる/載せないを制作前に決めてください。後から足すと、原稿づくりからやり直しになります。

【最重要】医療広告ガイドラインは、ホームページも対象です

ここは他業種にはない、医療機関だけの重要事項です。制作会社任せにせず、必ず院内で確認する体制を作ってください。

かつて医療機関のウェブサイトは、広告規制の対象外でした。患者さんが自分から探して見に来るもので、「一般の人が偶然目にする広告」ではないという整理だったためです。

それが2018年6月の医療法改正で変わりました。美容医療のトラブルが相次いだことが背景にあります。現在は、厚生労働省の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」で、ホームページも規制の対象とされています。

禁止されているのは、次の8つです。

禁止される広告 サイトでありがちな例
虚偽広告 「絶対に安全な手術です」
比較優良広告 「県内で一番の実績」「日本有数の専門医」
誇大広告 根拠を示さず効果だけを強調する表現
公序良俗に反する広告 品位を欠く表現・過度な不安の煽り
広告可能事項以外の広告 広告できる項目の範囲を超えた記載
患者等の主観に基づく体験談 「患者様の声」「口コミ」の掲載
誤認させるおそれのある術前術後の写真 説明のないビフォーアフター写真
その他 品位を損ねる内容の広告など

制作の現場でぶつかるのは、ほぼ下の2つです。

「患者様の声」は載せられません

冒頭でも触れましたが、体験談の掲載は禁止されています。院内に貼るアンケートと、サイトに載せる体験談は扱いが別だとお考えください。

これは制作側からすると、なかなか痛い制約です。他業種なら「お客様の声」で信頼をつくれるところを、医療では別の方法で埋める必要があります。

代わりになるのは院長の経歴・所属学会・症例数といった、検証できる事実です。主観ではなく客観的な情報で信頼を組み立てる、と考えると設計しやすくなります。

なお、Googleマップの口コミのように第三者のサイトに患者さんが自発的に書いたものは、医療機関自身の広告とは扱いが異なります。ただし、それを自院サイトに転載すると広告になり得ます。線引きが微妙なので、迷ったら所管の窓口に確認してください。

ビフォーアフター写真は「説明とセット」が原則

矯正歯科やホワイトニングでは、ほぼ毎回ご相談をいただきます。

ガイドラインが禁止しているのは、患者さんを誤認させるおそれがある術前術後の写真です。写真そのものが一律に禁止というわけではありません。

⚠️ 写真だけを並べない

治療内容・費用・期間・回数、そして主なリスクや副作用の説明を伴わないビフォーアフターは、誤認を招くものとして問題になりやすい形です。写真を使うなら、説明とセットで組む前提でページを設計してください。

自由診療を載せるなら、「限定解除」の4要件を満たす

自由診療のページを作るなら、ここが本題です。制作前に押さえておくと、後戻りがなくなります。

医療広告では、広告できる項目があらかじめ決められています。ただし一定の条件を満たすウェブサイトなら、その制限を外して詳しく書けます。これを「広告可能事項の限定解除」と呼びます。

厚生労働省のガイドラインでは、次の①〜④をすべて満たすこととされています。③と④は自由診療について情報を提供する場合に必要です。

1
患者さんが自ら求めて入手する情報であること

通常のホームページは該当します。一方、検索連動型のバナー広告やリスティング広告で表示されるものは該当しません。広告費をかけて上位に出しているページは、この要件を満たさない扱いです。

2
問い合わせ先を明示すること

患者さんが内容を照会できるよう、電話番号やメールアドレスを載せます。ここは通常のサイトなら自然に満たせます。

3
治療内容・標準的な費用・期間・回数を載せること(自由診療)

名称と最低金額だけを出して誤認させることは認められません。通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間および回数を書きます。金額が一律でないなら、最低額から最高額までの範囲で示す方法が示されています。

4
主なリスク・副作用を載せること(自由診療)

利点だけを強調してリスクに触れない構成は認められません。あわせて、掲載場所にも配慮が必要です。ガイドラインは、リンク先の奥に隠したり、利点に比べて極端に小さな文字で載せたりする形を避けるよう明示しています。

制作の実務でいうと、③と④の原稿が用意できるかどうかで、公開日が1か月ずれます。デザインは進んでいるのに、費用と回数とリスクの文章だけが埋まらない、という状態が本当によく起きます。

なので私たちは、自由診療のページがある案件では、この4点セットを最初にお願いします。診療内容ごとに「費用・期間・回数・リスク」の表を先に埋めてもらう形です。ここが片付いていれば、あとは詰まりません。

※本記事は制作者の立場で一般的な考え方を整理したものです。個別の表現が規制に当たるかどうかの判断は、所管の自治体の医療広告相談窓口や専門家にご確認ください。

患者さんが最後に見ているのは、症状の解説ページではありません

ここからは規制の話を離れて、実際に来院につながる部分の話をします。

クリニックのサイトでは、症状や治療法の解説に力が入りがちです。先生方が一番語れる部分ですから、自然なことだと思います。

ただ、受診を決める直前に見られているのは、もっと素っ気ない情報です。

受診前に見られている4つ

  • 今日やっているか(診療時間・休診日・臨時休診)
  • どうやって行くか(地図・最寄り駅・駐車場の有無と台数)
  • 予約が要るか(電話のみか、Web予約があるか)
  • 誰が診るか(院長の顔写真と経歴)

とくに駐車場の有無は、郊外のクリニックでは決定打になります。「あり」だけでなく台数まで書いてあるかどうかで、体調が悪い人の安心感が変わります。

診療時間についても一つ。祝日のある週や年末年始の対応は、表組みだけだと伝わりません。トップページに一行のお知らせ枠を用意しておくと、電話での問い合わせが目に見えて減ります。院内で更新できる形にしておくのがおすすめです。

Web予約を入れるかどうかは、受付の負荷で決める

「予約システムを入れたい」というご要望はよくいただきます。判断の軸は、患者さんの利便性だけではありません。

Web予約を入れると、電話は減りますが、受付の仕事は別の形で増えます。予約枠の設定、当日キャンセルの処理、電話予約との二重管理。ここを回せる体制があるかどうかが実質的な分かれ目です。

まずは診療時間と地図を正確に出し、電話番号をスマートフォンでタップできるようにする。それだけで来院前の不安はかなり減ります。予約システムはその次の段階と考えて構いません。

Googleマップ側も一緒に整える

クリニックを探す人の多くは、検索結果ではなく地図から入ってきます。

サイトの診療時間とGoogleマップの営業時間が食い違っていると、閉まっている時間に来院されるということが起きます。逆も同じで、開いているのに閉業と思われる損失もあります。

ホームページを作るタイミングで、両方をそろえてください。手順はGoogleビジネスプロフィールの整え方にまとめています。

クリニック・歯科医院のホームページ制作の費用相場

費用の目安です。自由診療を載せるかどうかで金額が変わります。原稿の量とチェック工程が増えるためです。

内容 費用の目安
保険診療のみ・診療案内とアクセス中心 30万〜60万円
院長紹介・院内写真・診療科目ページを作り込む 60万〜100万円
自由診療のページを追加(限定解除の要件対応) 80万〜150万円
Web予約システムと連携・複数院の展開 150万円〜(別途月額)

保険診療が中心の一般的なクリニックなら、60万〜100万円で院長紹介と診療案内を作り込むあたりが現実的です。ここに写真撮影費が別途かかることが多いので、見積もりの段階で確認してください。

自由診療を出す場合は、制作費よりも原稿づくりの時間を見積もってください。費用・期間・回数・リスクを診療メニューごとに整理する作業は、院内でしかできません。

料金の内訳はホームページ制作の費用相場で分解しています。依頼先の比べ方は失敗しない制作会社の選び方、発注前の準備物は依頼する前に準備するもの、公開後の月額は維持費・保守費用の相場にまとめています。補助金を使えないかはホームページ制作に使える補助金をご覧ください。

自由診療を載せるかどうかから、ご相談ください

「この表現は大丈夫だろうか」「予約システムは要るのか」——設計の入口で迷いやすい部分です。診療の中身と、増やしたい患者さんの層をうかがったうえで、無料で整理してお伝えします。いきなり発注ではありませんし、しつこい営業もしません。

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よくある質問

QGoogleマップの口コミは、サイトに転載してもいいですか?

患者さんが第三者のサイトに自発的に書いたものと、それを自院サイトに載せることは扱いが変わります。転載すると医療機関自身の広告と受け取られるおそれがあるため、避けるのが無難です。判断に迷う表現は、所管の自治体の医療広告相談窓口にご確認ください。

Q院内の写真は、スマートフォンで撮ったもので足りますか?

診察室や待合室は、明るい時間に撮れば十分に使えます。ただし院長の顔写真だけは撮影を依頼することをおすすめします。ここは初めて来る患者さんが一番見る場所なので、費用対効果が高い部分です。

Q公開までどれくらいかかりますか?

保険診療中心のサイトで2〜3か月が目安です。自由診療のページを入れる場合は、費用と回数とリスクの原稿を整える時間が加わるため3〜4か月ほど見てください。診療の合間に原稿を書いていただくことになるので、余裕を持った日程が安全です。

Q今あるサイトが規制に触れていないか、確認する方法はありますか?

厚生労働省が「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」を公開しており、実際の表現例で可否が示されています。まずはここで自院のページを見比べてください。判断がつかない箇所は、所管の自治体の医療広告相談窓口が相談を受け付けています。

参考情報

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まとめ

クリニック・歯科医院のホームページ制作費は、保険診療中心で30万〜60万円、院長紹介と診療案内を作り込んで60万〜100万円、自由診療のページを加えると80万〜150万円が目安です。

ただ、医療機関のサイトで一番の分かれ目は金額ではなく、医療広告ガイドラインへの向き合い方です。患者様の声は載せられません。ビフォーアフターは説明とセットです。自由診療を出すなら、費用・期間・回数・リスクを書く必要があります。

この制約を後から知ると、原稿からやり直しになります。だからこそ、載せる範囲を制作前に決めてください。

そして規制を守ったうえで来院につながるのは、診療時間・地図・駐車場・院長の顔という、地味な情報です。凝ったデザインより、この4つが正確に出ているサイトのほうが、患者さんには親切だと考えています。設計の入口で迷ったら、診療の中身をうかがいながら一緒に整理します。