「保護されていない通信」——自社のサイトを開いたら、アドレスバーにこう出ていた。
お客様からこの相談をいただくことがあります。多くの場合、慌てるほどの事態ではありません。ただし放っておいていい話でもありません。
セキュリティの話は、脅かされると財布を開いてしまいがちな分野です。高額な対策を勧められることもあります。この記事では、煽らずに書きます。中小企業のサイトで本当に必要なのは、そんなに多くありません。
必要なのは「最低限やること」と「放置したときに実際に起きること」を知っておくことです。
SSLは「通信」を守るもので、会社を保証するものではありません
まず、いちばん多い誤解を外しておきます。
SSL(サイトとブラウザの通信を暗号化する仕組み。URLがhttpsで始まり、鍵マークが出ます)が守っているのは、通信の途中で中身を見られないことだけです。
たとえばフォームに入力した名前や電話番号が、途中の回線で盗み見られない。書き換えられない。それがSSLの役割です。
ここが大事なところです。鍵マークは、その会社が信用できるという意味ではありません。詐欺目的で作られたサイトにも、鍵マークは普通に付きます。無料で取得できるからです。
つまりSSLは「あって当たり前の土台」であって、それだけで安全になるものではありません。逆に言えば、無いと目立ちます。
自社サイトを3分で確認する4つの手順
今の状態は、専門知識がなくても確認できます。スマートフォンではなく、パソコンのブラウザで見てください。
| 確認すること | やり方と、見るポイント |
|---|---|
| httpsで開くか | 自社サイトを開き、アドレスバーの先頭が「https」になっているか。鍵マークが出ていればまず大丈夫です |
| httpからも転送されるか | アドレスバーに「http://」から始まるURLを手で打って開く。自動でhttpsに切り替われば正常です |
| 警告が出るページがないか | トップだけでなく、問い合わせページと料金ページも開く。1ページだけ警告が出ることがあります |
| 証明書の期限 | 鍵マークをクリックすると証明書の情報が見られます。自動更新になっているかを制作会社に確認してください |
2つめと3つめは、見落とされがちです。
トップページはhttpsなのに、古い名刺やチラシに載っているhttpのURLから入ると警告が出る。これは実際にあります。転送の設定が抜けているためです。
3つめは、ページの中に古い画像が混ざっているときに起きます。ページ自体はhttpsでも、中の画像1枚がhttpのままだと、そのページだけ鍵マークが外れます。
💡 ポイント
証明書には有効期限があり、切れるとブラウザに大きな警告画面が出て、サイトがほぼ開けない状態になります。多くのレンタルサーバーでは自動更新にできます。ここが自動になっているかだけは、今日のうちに確認しておいてください。
有料の証明書は、ほとんどの場合いりません
SSL証明書には無料のものと有料のものがあります。営業を受けて「年数万円の証明書が必要です」と言われた方もいるかもしれません。
結論から書きます。中小企業の一般的なサイトなら、レンタルサーバーに付いている無料のSSLで足ります。
無料と有料で、暗号化の強さ自体は変わりません。違うのは「誰が運営しているか」をどこまで審査するかです。有料の上位の証明書は、運営組織の実在を確認したうえで発行されます。
必要になるのは、たとえば次のような場合です。
自社サイトの中で決済を扱う。金融や医療など、取引先や業界から求められる。大量の個人情報を扱う。このあたりに当てはまらなければ、無料のもので問題ありません。
判断に迷ったら、今の維持費の内訳を見てください。何にいくら払っているかはホームページの維持費・保守費用の相場にまとめています。
本当に危ないのは、SSLより「更新の放置」です
ここからが本題です。
鍵マークは付いている。でも2年前に作ったまま、一度も更新していない。このほうが、はるかにリスクがあります。
WordPressのようなシステムで作られたサイトは、本体とプラグイン(機能を追加する部品)が定期的に更新されます。更新には、見つかった弱点をふさぐものが含まれます。放置すると、その弱点が開いたままになります。
数字で見ておきます。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の届出状況によると、ウェブサイトの脆弱性に関する届出は2026年第2四半期の3か月で65件、累計では13,599件にのぼります。届け出られたものだけの数です。
これは「よくある」とも「めったにない」とも言えない数字です。大事なのは、当たったときに何が起きるかです。
最後の1つは、被害としては地味ですがいちばん頻度が高いものです。乗っ取られたわけではなく、ただ動かなくなる。そして誰も気づかない。
問い合わせが来ないときに真っ先に疑うべき点は問い合わせフォームの作り方に書きました。
そして、いちど「危険なサイト」と表示されると、復旧そのものより信用を戻すほうに時間がかかります。取引先から「おたくのサイト、警告が出るけど大丈夫?」と連絡が来る状況は、避けたいところです。
最低限やること5つ
全部をやる必要はありません。この5つで、起きやすい事故のほとんどは防げます。
4つめには補足があります。バックアップは「取れているか」より「戻せるか」です。取っているつもりでも、いざ戻そうとしたら中身が空だった。この話は実際に聞きます。一度だけ、戻す練習をしておいてください。
3つめのパスワードは、地味ですが効きます。管理画面のIDが「admin」のまま、パスワードを他のサービスと同じにしている。これだけで入られる可能性が上がります。
そして5つめが、いちばん抜けます。
「制作会社に任せている」が、いちばん危ない思い込みです
更新を誰がやるのか。ここを決めていない会社が、とても多いです。
お客様は「制作会社がやってくれているはず」と思っている。制作会社は「契約に入っていないので触っていない」と思っている。両者の認識がずれたまま、2年が過ぎます。
確認するのは1点だけです。保守契約に、システムの更新が含まれているかどうか。
月額を払っていても、中身がサーバー代だけというケースがあります。見積書の保守の欄に何が書いてあるかは、ホームページ制作の見積書の読み方で確認してください。
自社で更新する場合も、それ自体は難しくありません。管理画面にログインして、更新ボタンを押すだけです。ただし更新して表示が崩れることがあるので、バックアップを取ってから行ってください。
公開後に何をどう見ていくかはホームページ公開後の最初の3ヶ月にやることにまとめています。
※自社サイトが今どういう状態か分からない場合も、無料でご相談いただけます。確認すべき点をお伝えします。
検索の評価にも関係します(ただし過度な期待はしないでください)
SSLは検索にも関係します。ただし、ここを過大に言う情報が多いので、正確に書きます。
Googleは2014年に、HTTPSをランキングシグナルの1つとして使うと発表しています。また、同じ内容のページがhttpとhttpsの両方にある場合、httpsのページを優先して正規のURLとして選ぶと説明しています。
ただしSSLを入れたら順位が上がる、という話ではありません。あくまで土台の1つです。順位が動かない原因は、たいてい別のところにあります。
なお、httpからhttpsへ切り替えるときは転送の設定が必要です。ここを間違えると、それまでの評価が引き継がれません。リニューアルと同時に行う場合は、ホームページ制作でよくある失敗とトラブルもあわせてご覧ください。
⚠️ 注意
この記事は、中小企業の一般的なサイトを想定した最低限の内容です。決済や個人情報を大量に扱う場合、求められる対策はこれより広くなります。不安がある場合は、記事末の参考情報(IPA・総務省)をご確認いただくか、専門の事業者にご相談ください。
よくある質問
Q問い合わせフォームがないサイトでも、SSLは必要ですか?
必要です。入力欄がなくても、httpのままだとブラウザに「保護されていない通信」と表示されます。見た人の印象が下がるので、フォームの有無とは関係なく入れてください。
Qセキュリティ対策の営業電話がかかってきました。どう判断すればいいですか?
その場では決めないでください。今の契約に何が含まれているかを確認してから判断すれば間に合います。不安を強く煽って即決を求める相手は、いったん保留にして構いません。
Q更新すると表示が崩れると聞きました。それでも更新すべきですか?
更新してください。崩れることはありますが、直せます。放置して入られるほうが手間もお金もかかります。心配な場合は、バックアップを取ってから更新し、更新後にトップと問い合わせページを目で確認してください。
Qもしサイトが改ざんされたら、何から始めればいいですか?
サイトをいったん非公開にして、被害の拡大を止めるのが先です。そのうえでサーバー会社と制作会社に連絡してください。原因が分からないまま元に戻すと、同じことが繰り返されます。IPAの相談窓口も利用できます。
参考情報
- 安全なウェブサイトの作り方|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
- ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況[2026年第2四半期]|IPA
- 情報セキュリティ安心相談窓口|IPA
- HTTPS でサイトを保護する|Google 検索セントラル
- 国民のためのサイバーセキュリティサイト|総務省
関連記事
- ホームページの維持費・保守費用の相場|月額の内訳と抑え方
- ホームページのドメイン・データ・著作権は誰のもの?|制作会社を変えるときに困らないために
- ホームページ公開後の最初の3ヶ月にやること|見るべき数字と更新の回し方
- ホームページ制作の見積書の読み方|項目別チェックと相見積もりの比べ方
- ホームページ制作でよくある失敗とトラブル|契約前に防ぐチェックリスト
まとめ
SSLは、通信の途中を守るものです。鍵マークが付いていても、サイト自体が安全という意味ではありません。そして無料のもので足りる会社がほとんどです。
今日できるのは、4つの確認です。httpsで開くか。httpから転送されるか。警告が出るページがないか。証明書が自動更新になっているか。
そのうえで、本当に効くのは更新を止めないことです。本体とプラグインを月1回。パスワードは使い回さない。バックアップは戻せるかまで確認する。
最後に、誰がやるのかを決めてください。「制作会社がやってくれているはず」と「契約に入っていないので触っていない」が、いちばんよくあるすれ違いです。
保守契約の中身を一度見返すだけで、この記事の大半は済みます。
今の保守契約に何が入っているかが分からないとき
合同会社Zekkでは、ホームページ制作・LP制作のご相談を承っています。今のサイトの状態を一緒に確認して、足りていない点と、そのままでいい点をお伝えします。
不安を煽って高額な対策をおすすめすることはありません。ご相談は無料です。
Studio Experts加盟/建築・人材などの制作実績、士業・飲食の制作サンプルあり・オンライン相談で全国対応